母集団薬物動態解析の統計学的側面を理解するために
★★★★☆
母集団薬物動態解析はますます重要性を増してますが、この分野の日本語の教科書は非常に少ないのが現状です。本書は情報が新しく、ここ数年の知見が反映されている貴重な書籍であり、統計学的原理の解説が明解です。しかし、数学的記述が正確であるために、どちらかといえば臨床動態研究者よりは生物統計担当者が本分野を理解するために利用するための書籍といえます。筆者は本分野では著名な方ですが独自の解析プログラムを利用しているためNONMEMの使用法を理解したい人には向きません。最尤法、情報量基準、ベイズ推定、Bootstrap法は分かりやすく書かれており、参考文献も多く引用されています。一方、PK/PD、臨床試験デザイン、GAM解析、ブリッジング等は扱われてないことを購入の際は留意しておけばよいでしょう。そちらの知識に関しては、緒方先生の臨床薬物動態の理論と実践という本を読むことを勧めます。