ユングフラウ三山を正面に捉える絶景の展望台へ

標高2076メートルのシーニゲ・プラッテはアイガー、メンヒ、ユングフラウの正面に位置し、絶好の展望スポットとして知られている。この山に登る鉄道の出発駅はヴィルダースヴィル。インターラーケン・オスト駅から同じ会社が運営するベルナーオーバーラント鉄道に乗って1つ目の駅だ。開放感たっぷりのレトロでかわいらしい客車からインターラーケンの街やトゥーン湖を眼下に眺めながら登り、山頂駅には約50分で到着。駅周辺には高山植物園や鉄道開通前から営業しているホテルがあり、そのレストランでは展望テラスでユングフラウ三山を眺めながら食事を楽しめる。鉄道の運行は5月から10月下旬で、ホテルや植物園もそれに準じた営業となっている。

孤高の名峰マッターホルンを様々な角度から堪能

スイスとイタリアにまたがり、天を突くかのようなその様が人々を魅了するマッターホルン。リゾート地のツェルマットを出発するゴルナーグラート鉄道は、この名峰を心ゆくまで堪能できる鉄道だ。30分強で標高差1500メートルほどを登るなかで、様々な角度のマッターホルンが眺められ、豪快に流れ落ちる様を鉄橋から間近に見られるフィンデルバッハの滝も見もの。終点は地上駅として欧州で指折りの高所にあるゴルナーグラート駅。駅近くの展望台からの眺望も素晴らしく、眼下にはゴルナー氷河、遠くにはマッターホルンやモンテ・ローザ、ブライトホルンといった29もの山々を見渡せる。天文台が設置されたクルムホテルは、スイスアルプスで最も標高が高いホテルでもある。

湖やアルプスを見渡すパノラマビューの展望台へ

スイスとイタリアとの国境にある標高1704メートルのモンテ・ジェネローゾ山。この山に登る鉄道は、スイス南部・ティチーノ州のルガーノ湖畔にあるカポラーゴという小さな街を出発する。レッドとブルーのツートンカラーの車両が、ラックレールを走って乗客を約40分で頂上近くにある駅まで輸送。そこから少し歩くと360度のパノラマビューを堪能できる展望台があり、眼下にルガーノ湖やイタリア・ロンバルディア地方、遠くにはマッターホルンやユングフラウといったスイスアルプスの山々を眺められる。厳冬期を除いて多彩な草花や鳥類と出会うことができるハイキングも魅力的。なお、現在は山頂に新たな施設を建てるため運行は休止しており、2016年に再会する予定だ。

ユニークな姿の車両が世界一の急勾配を走る

まるでケーブルカーのようなかたちをした真っ赤な車体が、断崖絶壁を進んで行く。この鉄道は世界で最も急勾配を走ることで、その名を知られている。わずか4.6キロメートルの間に1629メートルを登り、最大傾斜は480パーミル。これは水平方向に1000メートル進む際に480メートル登るという驚異的なものだ。レールには世界で唯一ロッヒャー式のラックレールを使用。水平の歯車2つがラックレールを挟み込んで進むもので、技術者ロッヒャーがこの鉄道のために考案し、1889年の開通にこぎ着けた。山頂駅は標高2070メートルの場所にあり、屋外テラスや見晴らしのよい室内のレストランを擁する2つのホテルもある。なお、運行期間は5月中旬から11月中旬までとなっている。

数々の湖水と山々が織りなす風光明媚な景色を一望

ザルツブルクの東に広がるザルツカンマーグート地方は、湖水と山々による素晴らしい景観で知られている。その美しさを車窓から堪能できるのが、標高1783メートルのシャーフベルク山を走り、映画『サウンド・オブ・ミュージック』にも登場したこの鉄道だ。ヴォルフガング湖の畔にある駅を出発し、山頂駅には約40分で到着。その間、大小様々な湖やダッハシュタイン、ホーエ・タウエルンといったアルプスの山々が車窓を彩る。オーストリアの宝石箱とも呼ばれるザルツカンマーグート地方を一望できる山頂にはホテルやレストランもある。途中駅のシャーフベルク・アルベで降りてハイキングをしたり、自分の足で頂上を目指したりといった楽しみ方も可能だ。冬季は休業になる。