納得の演奏
★★★★★
昨年より矢継ぎ早に新録をリリースしているマーツァル&チェコフィル。気にはなっていたものの、あまりに次々とリリースされるので「う〜むどのタイミングで買ったものか」と思い悩んでいましたが(他に欲しい盤もありましたし)、私の大好きなチャイコの5番が出たので意を決して購入しました。
感想を先に申しますと、演奏、録音ともに満足のいく内容です。
第1楽章から第4楽章まで一貫して言えるのは、この曲の他の録音に見られるような「粘り」や「咆哮」といった要素が節度をもって抑えられ、小気味良いテンポの中で颯爽と突き進んでいくということです。そのためムラヴィンスキー氏や小林研一郎氏のような「熱演」を期待するといささか物足りなく感じるかもしれませんが、それは決して音楽的に不完全であるということではなく、むしろこの曲の本来の姿を追求した(そして成功した)演奏として評価できるのではと私は感じます。
クラシック音楽ファン、特にこの曲に思い入れのある方にはぜひ聴いていただきたいです。