Velvet Rope Tour [DVD]
価格: ¥9,481
本来HBOのために制作された2時間の贅沢なコンサートは、ジャネット・ジャクソンの強烈な野心を十分に証明する内容だ。ホイットニー、セリーヌ、マライヤは、ジャネットの小さく甘い歌声よりもずっと上を行く声を持っている。しかし、ジャネットのライヴ・パフォーマンスにはタフで筋肉質なパワーがある。無数のセット・チェンジと衣装替えを嵐のようにこなし、練られたダンス・ステップの間中エアロビクスのペースをキープし続ける。それはどのライバルたちも到達できないレベルのものだ。“ヴェルヴェット・ロープ・ツアー”の一環として、マジソン・スクエア・ガーデンで収録されたこの日のライヴのジャネットは、たくましい肉体と声を披露している。
『ザ・ヴェルヴェット・ロープ・ツアー・ライブ』は、ラッパーたち、ハードロックのヒロイズム、甘く溶ろけるロマンティック・ポップス、そしてジャネットの持ち味である柔らかなエロティカを全部さっとかき混ぜたよう。でも、ショー自体はスペクタクルという広い意味でそのどの要素も軽く超越している。スターであるジャネットは自分の力を証明するべく最前線に立ち、ダンサー、シンガー、ミュージシャンの巨大部隊を統率する。音楽パフォーマンスが細切れにこじんまりと詰めこまれ、無難な輝きにとどまっているのは明らかだが、ジャネットは強い意志力でサポート陣をまとめている。ここ10年のヒット曲がずらりと並んだショーは、凝ったダンスの振り付けと巨大な舞台セットで注目に値するものだ。巨大予算のミュージック・ビデオの質に見合うようにスターは努力している。一流のバンドと敏捷なダンサーたちで構成された一座はかなりの大人数。ジャネットはエアロビクス的な“きれ”のある動きでペースをキープし続ける。「ロープ・バーン」での演出が暗示するものについて推理するのは社会学者にまかせよう。恍惚とした男性ファンがイスに縛られ、大好きな性的妄想の対象がポール・ダンスをするのを無理やり見させられるのだ。もしこの勇敢な人物が何かを示唆しているとすれば、ジャネットはすでに信望者のハート(そしてそれ以上のもの)を手に入れているといえるだろう。(Sam Sutherland, Amazon.com)