Rose in Winter
★★★★★
***一人二役を上手く演じたヒーロー***
評判通り楽しめる作品でした。
ヒーローがどうやって正体を明かすか楽しみでいつかないつかなと思いながらページをめくってました。
ヒロインの好みは極端に分かれると思います。
仮面を被り不自由な身体の男とハンサムで誘惑的な男性、男運のないヒロインはとても悩みますよね。本音と建前がよく表現されていて、ヒロインの気持ちが手に取るように分かります。
2人が中心になってしっかりと描かれていて、話のなかだるみもなく一気に読めてしまいます。
まぬけな悪人達も面白い。
しかし美人というのは大変ですね。
残念ながら・・・
★★★☆☆
とても楽しみに待っていた分、期待しすぎたのでしょうか。いま一つ夢中になれませんでした。一番気になったのは、クリストファーです。人妻となり、貞操を守ろうとするエリエンヌに、これでもかと誘惑をしかけます。「いいのか、それで。人妻なのに、他の男になびくような女を求めてるのか?」と思いながら読みました。それでも、貞操を守り続けたエリエンヌは立派だと思いますが。
夫とひそかに恋慕う人との間で揺れるヒロインですが、私はむしろクリストファーへの愛よりも、醜い?風貌を隠しながら、エリエンヌに思いやりを見せ続けるサクストン卿に愛を深めていくという設定のほうが好きだったなあ。
名作に☆3ダメ?
★★★☆☆
え〜…ごめん。名作なのにダメでした。何でだろう。
ストーリーは今さら言わずもがなですが、設定が夜ドラの内館牧子風 なのがダメだったのかな。
知る人ぞ知る名作 再登場!
★★★★★
凛とした中に初々しさと可憐さのあるエリエンヌ、初心なヒロインをかまって反応を楽しみつつ情熱的に口説くクリストファー、異様な風貌ゆえ妻への愛情を内に秘め優しく包み込む紳士なサクストン卿と、ヒロイン・ヒーロー共に直球ど真ん中で、ヒストリカルロマンスファンになった原点の作品でもあります。
サクストン館を巡る怪事件の真相や対決シーンなど緊迫感のある一方、ウイットに富んだ会話の数々・切ない心の葛藤・甘美で官能的なシーンなど多彩で、冒頭から一気にグイグイ引き込まれます。
起伏に富んだ緻密なストーリー構成とドラマティックな展開、台詞の言い回しも綿密に練って含みを持たせ、思わぬ複線が張られているなど、何度読み返しても飽きない名作です。
サンリオ版との違いについて、本書では冒頭に冬のバラの伝説が書かれタイトルとの関連が分かり易くなりましたが、訳の全般的な改定に伴い、文字数がかなり少なくなっているのが残念でした。
特に会話部分の一人称と二人称の使い方や語尾の締め方が異なるせいか、人物の性格付けが微妙に変わり違和感を持ちました。
(「殿」については他の方がご指摘の通り。他には、語尾が断定的でヒロインの奥ゆかしさが表現し切れていない。クリストファーとサクストン卿が「わたし」と同じ主語を用い、ヒロインとの会話も同じ口調で訳されており、本作の醍醐味が生かしきれていないなど。)
逆に旧訳で婉曲な表現になっていた箇所が端的に描写されていますので、サンリオ版をお持ちの方は訳の違いを読み比べてみて下さい。
夏に遺作のEverlastingが刊行予定との事なので、今から楽しみです。
今後も邦訳されていないウッディウィス作品の出版を期待しています。
要素満載
★★★★★
私がヒストリカルロマンスにはまるきっかけとなった1作です。
実は、本作は15年ほど前にサンリオから出版されていましたが、今回新訳での登場です。
魅力溢れるヒーローとヒロイン。ヒロインは、強いられた境遇の中で、自らの義務と、信ずるところに従おうと、せいいっぱい闘っています。果たすべき責任、守るべき名誉と苦悩、ハンサムなヒーローに惹かれ引き裂かれそうになる心...悪役、ライバル、復讐劇と盛り沢山の要素が、破綻することなく詰め込まれています。ボリュームもそれなりですが、中だるみもありません。でも、何と言ってもヒーローの魅力が良いのです。
伏線もしっかりしていて、決して多作な作者さんではありませんが、それだけに緻密な構成がすばらしいです。
惜しむらくは微妙な訳。ところどころ気になるとこもありますが、一番の違和感は、領主に向かっての呼びかけが「殿」であるところです。他の方もご指摘されていますが、「殿」は無いですよね。原作では My lord や milord ですが、「旦那さま」といった呼びかけの方が、まだしっくりくると思うのですが....。そして出没する謎の騎手が「夜の騎手」..night rider だからそのまんまではあるのですが、好きな作品なだけに違和感が拭えない訳が残念でした。
ちなみに、タイトルの「冬のバラ」は、表紙のような大量のバラに囲まれるイメージではなく、ヒロインが苦悩しながら、彷徨い出た庭でみつけた雪に埋もれながらも健気に咲いていた一輪の薔薇です。このイメージこそが、本作のヒロインを表しているのでしょう。
とりあえず、お奨めの一作です。