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ポピュラー音楽へのまなざし―売る・読む・楽しむ

価格: ¥3,360
カテゴリ: 単行本
ブランド: 勁草書房
Amazon.co.jpで確認
まとまりに欠けている ★★★☆☆
 本の紹介をコピーするのは申し訳ないが「のど自慢、スター、米軍キャンプ、ジャズ、フォーク、レコード、歌謡曲、アイドル、追っかけ、ローラー族、ロック、ロック・フェス、CD、ヒップホップ、アーティスト、ネオアコ、ネット配信」と言うあまり似たようなジャンルや事象を「ポピュラー音楽」と言う言葉で一括りにして論じるには、あまりに現在の音楽状況は複雑である。
 それを承知で「大衆音楽」として目を向けた努力は多とするが、あまりに雑多なおもちゃ箱の中から、お人形を出したり、ロボットを出したりして論じて、最終的に「多様性」で終わりにしているのでは、ちょいと情けない。
 残念
ポピュラー音楽研究の広域ロードマップ ★★★★★
 ポピュラー音楽研究とは畢竟、「私たち自身について考えること」(1章・山田晴通)であり、究極の学際性を帯びている。それは、「音楽学、社会学、文学、文化人類学、心理学、経済学などの多様な分野の研究者たちが、さまざまな関心を持ち寄りながら成立してきた研究分野」(6章・増田聡)なのだ。つまり、ポピュラー音楽の研究者とは、既存の学問制度的な枠組みのうちに安住を許されず、それぞれに肩身の狭さや冷たい視線を感じつつ、けれども音楽文化への愛を貫こうとする冒険者たちである。その冒険を導く本邦初の広域ロードマップとして、(すでに複数の大学で教科書にも指定されている)本書が出版された意義は大きい。
 本書の非凡な射程を最短距離で実感するには、まず、同じビートルズの作品㡊??いかに異なった解析の対象になりうるのか、という振幅の検証(6章・増田聡)を一読した上で、最も音楽学の方法に接近するロック/Jポップのリズム論(7章・矢向正人)と、音楽から遠く離れて音楽を語る社会心理学的アイドル受容論(13章・辻泉)に目を通してみるのがよいだろう。本書の各章はいずれも、具体的な作品や事象への各論的な掘り下げとともに、理論的な一般化への開け放ちを試みているので、たとえば、和製ラップの分析から日米のグローカル(=グローバル/ローカル)な音楽状況を照射する論考(4章・安田昌弘)を読めば、ラップに興味のない読者も、方法論のレベルで多くの示唆を得るに違いない。
 もちろん、日進月歩のテクノロジーと連動する音楽産業のあり方を考えると、あと10年後、本書ち?最先端の探究ではなく、過去の一足跡となっている可能性もある。が、それは、日本のポピュラー音楽研究の体系化という流れのなかで、歴史的な第一歩として記憶されることだろう。編著者である東谷護の情熱と英断に、大いなる拍手を送りたい。