「オズの魔法使い」のような古典的名作をリメイクするのは冒涜だと思われるかもしれない。しかし、映画監督のシドニー・ルメット（代表作『質屋』『セルピコ』）は、キャストに全員黒人俳優を起用し、話の設定をよりわかりやすくして、1978年、エンターテインメント性の高い現代の寓話としてこの名作を再び世に送り出した。
   物語は、小さな田舎町に住む少女があこがれの夢の世界で善と悪との戦いを経験し、地に足のついた冷静なものの見方を身につけて現実の世界に戻ってくるというものだ。ミュージカル・スタイルで構成された本作（成功を収めたブロードウェイ版をもとにしている）が特に音楽的に素晴らしいわけは、ドロシー役のダイアナ・ロス（代表作『マホガニー物語』『ビリー・ホリディ物語』）とかかし役のマイケル・ジャクソンというスターたちの現代曲が使われ、クインシー・ジョーンズがアレンジを担当するという最高の布陣が敷かれているからだ。視覚的にも音楽的にもエキサイティングな本作は、ただのリメイクというより、古典にアイデアを得て創作され立派にひとり立ちして（そして踊って！）いるひとつの作品という方がふさわしいだろう。（Robert Lane, Amazon.com）