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純愛の証明 (実業之日本社文庫)

価格: ¥580
カテゴリ: 文庫
ブランド: 実業之日本社
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人間本性の奥深さを抉る!―<純愛>は証明できるのか・・・ ★★★★☆
  経済学者・猪木武徳氏の『社会科学と文学のあいだ』は著名な文学作品を読み解きながら、社会科学としての経済学との相関を問う興味深い作品だ。経世済民を意味する「経済」は人間活動そのもの。ならば、文学作品が描き出す複雑多様な人間像から何らかのアイデアを汲み取ることは徒労どころか、むしろ有意義な試みではないか。私も本書を通じて文学作品の「活かし方」を考えてみたいと思うようになった。

  著者の森村誠一氏は10年に及ぶホテル勤務から作家に転向したが、ホテル勤務中、「どうやったらこの世界から抜け出すことができるのか」を絶えず自問自答していたようである。ただホテルには多種多様な人間が訪れる比類なき場所でもあり、人間観を養うことに非常に役立ったらしい。小説は人間ドラマであり、作者の人間観察力や人間への鋭意な嗅覚が求められる。本書にもそれは反映されている。社会的地位のある男3人が偶然に巡りあった運命の女。それは「ただ一人の異性」である。その彼女が忽然と姿を消し、彼らだけの捜索が始まる。「純愛」とはどんな形をなし、色彩を帯びているのか。お馴染みの牛尾刑事、棟居刑事も登場し、事件は進展と膠着を繰り返してゆく。そのなかでまた人間の本性の変質が巧みに描写され、その奥深さを教えてくれる。ラストへのシナリオはある程度は予測可能だが、あらためて知ると切ない。その切なさを知ることで人はまた歩き出せる。そんな作風に森村の人間に対する飽くなきこだわりを実感した。ストーリー全体はさほど錯綜しておらず、緊迫感がやや少ないのが難点といえるかもしれない。

  森村作品を読むといつも猪木氏が試みた「社会科学と文学のあいだ」という主題を思い起こす。近年の経済理論のフロンティアでは人間本性とそれにもとづく行動原理を革新させるものが多いともきく。小説はそんな問題意識を持ち続けるための1つの材料になるのかもしれない。大袈裟であろうか。

男のロマン ★★★★★
いつもの森村節だが、明確に描こうとしている事項がある。
男女の関係は、たとえ買う買われるの間柄であっても、純愛は成立する、と作品は主張している。
しかし、若い恋人同士の話ではなく、中年男と未成年の娼婦との間の関係であるところに、少し特殊性がある。

しかし男が、いくつになっても純愛を求める、少年の様な気持ちが、十分に描かれている。
その点で、男性には引き込まれる部分は多いが、女性にも十分に共感出来るとも思う。

また、人間とペットである動物の関係にも、話が及んでいる。
なるほど、と思わせる内容が提示されている。

本作品は、単なるミステリーではなく、一定のテーマを描き、それが成功している。
そういう意味で、プラスαの読み応えがあった。

一気に読み上げ、読了した時点では、既に夜が明け始めていた。
おじさんが喜びそうな話 ★★★☆☆
 ミステリー仕立てになってはいるが、ラストはあっけない。夢見るおじさんにマッチしたストーリー展開になっている。消えたヒロインの結末はいただけないと思った。