患者をまるで自分が操作する機械の歯車のように扱う鷹揚な外科医の役は、ウィリアム・ハートに絶好の適役。彼はやがて喉頭がんと診断され、この映画のもとになった回顧録のタイトルに記されているように、今度は自分が「歯車」の立場におかれることになる。
わき筋に、病院に新しく入った自覚のある外科医が、治療ミスを隠蔽しようとしている同僚(マンディ・パティンキン)を発見する話があり、医者の連帯意識の問題にも触れている。ハートをはじめ、彼を治療する医師役を演じるウェンディー・クリューソン、がん患者役のエリザベス・パーキンスも、ゆるぎない演技力を見せている。面白いのは、パティンキン、アダム・アーキン、クリスティン・ラーティら、本作のハートの共演者がテレビシリーズ「シカゴホープ」でみな医師役を演じることになったこと。(Marshall Fine, Amazon.com)