ピクニック・アット・ハンギングロック [DVD]
価格: ¥5,076
オーストラリア出身のピーター・ウィアー監督が、1900年に実際に起きた事件をもとに映画化し、その名を世界に知らしめた出世作。規律を重んじる名門女子学園で、生徒たちがピクニックに出かける。しかし、行き先の岩山で、3人の生徒と老教師が岩と岩の間に吸い込まれるように、姿を消してしまう。当日の出来事と、彼女たちの日常が交錯する、ファンタジーとリアルが同居した不思議なサスペンス。
実際の事件でも失踪の原因が謎だったとうに、映画も真相を突き止めるわけではない。むしろ女子生徒同士の友情とも恋愛ともとれる関係や、彼女たちの死に対する甘美な憧れ、レイチェル・ロバーツが好演する教師の厳格さと危うさなど、少女コミックのような空気感が充満。失踪の原因に対し、観る者のイマジネーションをかき立てることに成功している。フリルの付いた天使を思わせる制服や、風になびく金髪をとらえた映像は、徹底的に繊細でリリカル。現実から一歩浮き上がった世界が、観ていて心地よい。この感覚は、後のソフィア・コッポラ監督の『ヴァージン・スーサイズ』などにも受け継がれている。(斉藤博昭)