人それぞれ、生き方の多様さに刮目させられる
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表題作の酒井與喜夫「カマキリの雪予想」は、「カマキリが高いところに産卵すると大雪」の言い伝えに沿って著者は観察を思い立った。歴史に残る「38豪雪」がそのきっかけになる。積雪予想だけではなく、初雪予想の要望まで出て、世間からも期待されるようになる。カマキリの産卵を調べていると、天気もかなり正確に予知することができた。自然災害を最少限度に食い止めるために、その予測をこのような生物の習性から学び取るという視点、その発想がユニークである。人を惹き付ける、ベスト・エッセイの名に値すると思われる。
元東京高裁長官(筆名)ゆたかはじめ「鉄道乗り歩きの極意」は在職中に全国の鉄道を完乗した話。仕事と趣味のチャンネルをうまく切り替え、仕事も集中、趣味にも集中したと言われるのに感心する(雅)