Six Feet Under: Complete Fourth Season [DVD] [Import]
価格: ¥3,059
「シックス・フィート・アンダー」の最後から2番目にあたる第4シーズンは、第3シーズンのかなり暗く衝撃的だった道筋をさらに奥まですすんでいく。第1シーズンからこのドラマの特徴(といっても結局は定義不能なのだが)となっている、不幸な出来事に幻覚のような突拍子もない喜劇的な要素が混ざるトーンはまちがいなく本シーズンにもあるが、混ざり具合にこれまでとは違った変化が見られる。話をおもしろくさせる場面は不自然な感じで、各エピソードのはじめに出てくる奇怪な死の場面は、あとに続くテーマが持つ強迫観念へのわざとらしい前奏曲になっている場合が多い。だからといって第4シーズンにファンが期待する楽しくて感動的で意外な展開がないというわけではない。いやがらせに排泄物が何度も送りつけられて、ルース(フランセス・コンロイ)と夫のジョージ(ジェームス・クロムウェル)の関係に緊張が生じ、若い研修生アーサーが退職する(レイン・ウィルソンがとても楽しそうにはまり役を演じていたので、このシーズンの早いうちにフィッシャー家から出て行ってしまったのは本当に残念だ)。そうこうするうちルースは、メキシコ旅行で手に負えないベティーナ(キャシー・ベイツ)と短期間だけ再び顔をあわせる。
一方、水面下にひそむ混乱に向けた陰気な視線がこのシーズンのエピソードに感情的な勢いを与えてもいる。妻を亡くしたネイト(ピーター・クラウス)はオープニング直後、どうしても再びブレンダ(レイチェル・グリフィス)にひかれてしまう。例によって脚本家と監督はエピソードごとに違うが、制作のアラン・ボールが創作したキャラクターがより明確に忠実に描き出されている。社会をそれぞれのキャラクターの視点からとらえる時間が長くなっているようだ。ネイトの怒りや悲しみは収まらず、クレア(ローレン・アンブローズ)は性的で芸術的な創作方法として新たに「穀類を挽く」やり方を覚え、写真家として認められるようになる。本シーズンでも恋愛にひそむ毒に焦点があてられている。ルースとジョージの関係は、リコ(フレディ・ロドリケス)とヴァネッサ(ジャスティナ・マチャド)の結婚が痛ましくも破綻するのと同様の結末となる。だがいちばんつらいエピソードはデイヴィッド(マイケル・C・ホール)が危険な自動車強盗にあう話だ。この悪夢のフーガはのちのエピソードまで続き、波紋を広げ、キース(マシュー・セント・パトリック)との微妙な関係に新たな影を落とす。周囲の環境や危険から身を守る場所が崩壊するという、より黙示録的なイメージへと突き進んでいく。転落していくこと、弱さをさらすことに容赦ない視線が注がれ、フィッシャー家の人間が生まれつき持っている権利だと思える奇怪さに逃げ込むこともゆるされない。だがそれこそが、よく言うとおり、世間が求めてやまないものなのである。(Thomas May, Amazon.com)