インターネットデパート - 取扱い商品数1000万点以上の通販サイト。送料無料商品も多数あります。

Complete Tone Poems (Coll)

価格: ¥1,770
カテゴリ: CD
ブランド: Decca
Amazon.co.jpで確認
若き全集メーカー、ハイティンクの所産 ★★★★☆
若き日のハイティンクは時代を先取った「全集メーカー」だったと思う。コンセルトヘボウ管弦楽団やロンドン交響楽団を指揮して、様々な「全集」を完成させた。メディアの流通の絶対量や生産・取り扱いの容易性が異なったLPの時代に数々の「希少な」ジャンルに録音を残した。例えばブルックナーの習作を含む交響曲の全集もハイティンクのものがいちばん最初で、「第0番」のような珍しい作品は他に聴く方法がなかった。

このリストの「交響詩全集」もそんな当時のハイティンクならではの所産であろう。オーケストラははロンドン交響楽団、録音は1968年から71年にかけて行われている。収録曲は交響詩第1番「人、山上で聞きしこと」 第2番「タッソーの悲歌と勝利」 第3番「前奏曲」 第4番「オルフェウス」 第5番「プロメテウス」 第6番「マゼッパ」 第7番「祭典の響き」 第8番「英雄の嘆き」 第9番「ハンガリー」 第10番「ハムレット」 第11番「フン族の戦い」 第12番「理想」 第13番「ゆりかごから墓場まで」 メフィスト・ワルツ第1番(村の居酒屋の踊)の計14曲。

リストの創作活動のうち、管弦楽曲の大半は「交響詩」というジャンルに充てられた。標題音楽的な性格と形式を持った「交響詩」のジャンルはリストによって確立された。とはいえ、現代では第3番「前奏曲」以外は演奏機会さえまれである。「マゼッパ」「理想」は詩にインスパイアされた作品で、「マゼッパ」は超絶技巧練習曲集の同名曲と同じ旋律が扱われているので、ピアノ曲を知る人には馴染みやすいだろう。「タッソーの悲歌と勝利」「オルフェウス」「プロメテウス」「ハムレット」は元来劇の上演のために作られた。「フン族の戦い」は壁画にインスパイアされたもので、オルガンの効果的な使用が目立つ。メフィスト・ワルツは「レーナウのファウストによる2つのエピソード」の副題を持つが、その「2つのエピソード」が「夜の行列」と「村の居酒屋の踊」である。詩にインスパイアされた標題音楽ということで、交響詩的作品といえる。

必ずしも全部聴く必要のある作品たちではなく、むしろリストの作品に強い興味がなければ、聴き漏らしてかまわないジャンルであるとは思うが、若きハイティンクの真摯な取り組みは傾聴に値するだろう。楽曲はやたらと冗長な「拡張主義」的側面を否定できず、退屈のそしりを逃れない面を持つが、美しい部分もある。他に入手盤のほとんどない曲もあり、資料的に貴重だろう。