凌辱と誘惑の垣根を跨いだ感じ
★★★★★
ヒロインの同意もなく交わるという意味では、森作品で目下一番の凌辱作品だと思う。しかし、純然たる誘惑系だったデビュー作『熟女の群れ−四匹の獣』を除けば、征服後のヒロイン達の振る舞いは最も誘惑系的である。今回の女教師3人は、最初こそ強引に受け入れさせられるものの、空閨の未亡人だったり、訳あって男嫌いだったのが未知の愉悦を知らされたり、元から憎からず想っていたりするため、最終的には主人公にメロメロとなる。一応、御主人様と呼ぶ関係にはなるのだが、後半はほとんど誘惑系のノリだし、時には無節操な言動で笑えるくらい。純粋な甘々の誘惑系愛読者でも、前半ではギリギリ嫌悪感あるかな?くらいの後に、何だか溜飲が下がるような、少なくとも悪くない読後感には至るであろう展開である。これをどっち着かずの中途半端と捉えることもできるが、代わりに前作『蔵の中の相姦−三匹の義姉』や前々作『蔵の中−三匹の未亡人』がOKだった諸兄には問題なしと言うこともできる。舞台が蔵から学校に変わっただけで、3姉妹の設定も前作と似ている。むしろ「女教師」が加わって、時に面白いことになっている。さらに本作では、3姉妹の中に獅子身中の虫、主人公の側からはサポーターとなる存在が特色となる。抵抗を続ける1人の心を解放すべく、善意の黒幕となるのである。逡巡する主人公さえも仮初めの魔少年に仕立てる前半のメインである。そして、これはなかなか堕ちないのが1人いることでもあり、これが四面楚歌的にとうとう陥落してから存在感を増してくる。強情だった分、一番嫉妬深くなっちゃって物凄く可愛くなるのである。最後にはお茶目な一面すら見せて少し萌える。前半のちょっと重苦しい展開に反して、出し抜け禁止と約束しながら姑息に出し抜くことばかり考えて楽しむかのごときヒロイン達のしたたかさが面白い後半だった。