デビッド・ブレインは観客を熱狂させる。25セントコインを噛んで真っ二つにしたのち息を吹きかけて元どおりにする。トランプのカードをびりびり裂き、紙片を観客に握らせるが、観客が手を開いてみるとカードは元どおりになっている。テレビの特別番組“Street Magic”“Magic Man”“Frozen in Time”をまとめたデビッド・ブレインの“Fearless”は、冷静でむだ口をきかないマジシャン、ブレインが奇術を披露しながらアメリカ中を回っていくものだ。アトランティック・シティでは3人の女性を空中浮揚させ（本当に浮揚させる）、ニュー・オーリンズでは、自分のシャツを持ち上げて、ある女性の亡くなった友人の名前を浮かび上がらせる。その後、氷の中に3日間入る。そういうことができると示すためだけにやってみせるのである。彼のトリックは巧みで手先で早業をなしているに違いない（そうでしょう？）。ブレインの催眠作用のある声、凝視によって観客は奇術と神秘な技を信じてしまうのだ。「喜んでいるのか、慌てているのか、自分でも何が何だか分からない」と呆然とした見物人が語っている。それこそがまさにブレインの狙いなのである。（Dana Van Nest, Amazon.com）