PBSテレビが送る子どもたちに人気の教育番組。全米で親や教育関係者たちの絶大な支持を得ているのもうなずける。パペットあり音楽ありの愉快な30分番組、とくれば「セサミ・ストリート」や「アーサー」のような名番組を連想するが、それも偶然ではない。実際、これらの作品（「Electric Company」や「Zoom」もしかり）の企画ブレーンは4歳から7歳の子どもたちの読み書き能力を伸ばすべく共同で制作に当たってきたのである。言語音声学のカリキュラムからの選りすぐりで構成、子どもたちに読み方を教え、本を読む楽しみを身に付けさせようというねらいだ。巧みな話術で進める学習コーナー（“Gwain’s Word”のような楽しい語呂合わせも）、不思議な図書館を営むライオン一家のユーモラスなやりとりを通して、そのねらいは見事達成されている。
   物語が毎回1つ用意されていて、その中で単語を教え、母音に注目させ、つながりのある単語を提示する、というパターン。今回の特別版のタイトルは「Little Big Mouse」で、イソップ寓話「ライオンとネズミ」をアレンジしたもの。ストーリーを追いながら、子どもたちはキーワード“little”を教わるが、レッスンはまだまだ序の口。「短いi」の母音発声に始まり、itつながりの単語hit、lip、rip、tripなどが次々に登場する。学習コーナーの切り替わりに違和感はまるでなく、騎士たち、ドクター・ルース（ワードハイマー）、そしてクリックという名前のサイボーグネズミたちとの楽しいやりとりや歌で復習ができる。対象となるラッキーな子どもたちは4歳から7歳まで。楽しみながら読書の世界への第一歩を踏み出せる、申し分のない作品である。（Lynn Gibson, Amazon.com）