女性歌手の代表曲をカバーするシリーズの第二弾。私は「4」→「1」→本作と聴いて来た。多彩な女性歌手の代表曲を、飽くまで原曲の良さを損なわずに、「徳永の世界」に取り込んで、同一トーンのアルバムとして安心して聴けると言うコンセプトは本作でも活きている。徳永の甘く囁く様な中低音と、伸びやかで透明感のある高音が対象の曲群に適合しているのが強みである。多彩な女性歌手の代表曲を、徳永一人の歌唱で味わえると言う贅沢感もある。ただし本作を聴いて、他の二作(「1」,「4」)で感じなかった不満も覚えた。敢えて書くと以下の様。

(a) 曲と歌唱さえ良ければ別段問題は無いし、シリーズの各版を重ねて聴いているせいもあるが、楽曲提供者が、中島みゆき、松任谷由実、吉田美和、竹内まりや、来生姉弟と言った所に偏っている。もう少し、選曲対象を拡げても良いのではないか。

(b) 原曲の雰囲気に近い形で歌っている場合が多いが、「恋人よ」、「かもめはかもめ」等は、原曲を追いかけるのに精一杯で、徳永の独自性が出せていないのではないか。また、「なごり雪」は正やんの歌唱と変わる所が無い様に映ったし。逆に、「あなた」のように、原曲の雰囲気を変え、乾いた軽いサウンドに載せて歌う事に依って、原曲の命である清新さを失っている例もある。原曲の昇華と言う点で物足りないものを感じた。

シリーズのコンセプトが良いだけに厳しい事を書いてしまったが、上記の内、(a)の一部と(b)は「4」では解消されていた。本アルバムも単独で聴けば満足出来る内容だと思う(それだけ「4」は出色の出来)。シリーズとして続ける事の難しさを感じさせる作品でもあるが、素晴らしいコンセプトを持つシリーズだけに、今後も長く続く事を祈りたい。

　今回の曲リストは、前作と比較すると、彼の好みの傾向が見えてきます。「セカンド・ラブ」は来生たかおさん、「いい日旅立ちは」は山口百恵さん、「あの日にかえりたい」は荒井由実さんと、前作に続いて歌われているアーティストたち。これは、年代による好みなのかもしれませんが、聞いていて違和感がないですね。
　意外なのは、「あなた」「かもめはかもめ」などの歌謡曲と呼ばれたものと、「恋人よ」や「なごり雪」などフォークソングと呼ばれているものの混在・・。といっても、彼が歌うとジャンルを超えてしまいますね。

徳永英明のバラードは定評があると思ってきたのですが、正直なところ、少々がっかりしました。
選曲がとてもよいので、よい気持ちで聴ける事は間違いなかったのですが、どれも同じ歌い方で実に単調、飽きてしまいました。
一言で言うと、うまい歌手が器用に、人の歌った売れた曲を軽く歌っているだけ、と感じました。

オリジナルはどれもその歌手の売れた曲であるだけにもっと思いがこもっていて情感豊かに歌い上げているので、この徳永氏のようにどれもこれも同じ調子であっさりと歌われてしまうと、やはり、あれ・・・？と感じてしまうせいかもしれません。
ちょっと「名曲」への冒涜かな・・なんて思いも。
他の方も書いていましたが、歌いたくて歌っている、という思いが伝わってこず残念です。
やはり徳永氏にはオリジナルで情感豊かに歌い上げて欲しいなあと思います。

ただ、ＢＧＭとして聞くにはとてもいいかもしれません。
きれいな気持ちよい曲が、盛り上がりなく淡々と同じ調子で続きますので。

　時代を代表する女性アーティストの名曲バラードをカバーしたアルバムだが，ある意味で完全にオリジナルと化していて，正直なところ，原曲と比べることすら無意味なことのように思える。アラサーなどではまだまだ青い，もっと人生の経験を積んだアラフォー世代にこそ，真の共感を呼ぶ名盤かもしれない。ＶＯＣＡＬＩＳＴ１・３とは異なる白のジャケットが，冬を連想させる曲が多い故だとすれば，さりげない上品なセンスも感じられる。個人的なベスト３は『シングルアゲイン』『いい日旅立ち』『ｆｏｒ　ｙｏｕ…』。全体を通じて，冬・逆境のイメージが宿っている。ＶＯＣＡＬＩＳＴ３部作のなかでは最もストライクゾーンが狭い選曲となっているように思えるが，その分熱烈な支持層も生みそうな１枚。

今まで好きな女性アーティストが歌う名曲はキーが高すぎて歌えなかった。
徳永の歌うキーはオリジナルより少し低いので、自分にも挑戦できそうだ。

このＣＤを聞きながら、未来予想図2やシングルアゲインやＭの練習をしてみようと思う。
ほとんどすべての収録曲が好きだ。特にこの2は味わい深い。