手軽に読める関口文法 冠詞・副詞・独訳漫談集
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POD(プリント・オン・デマンド)版とは有難いものである。簡易製本とは言え戦前の名著が、刷り立てホヤホヤで買えるのだから。
本書は関口存男先生の、ドイツ語冠詞、ドイツ語副詞、和文独訳漫談集、ドイツ語会話常用句集、の4冊の合本で、お値段は¥6300の正価販売。漫談集のみ158ページで、これはじっくり読まないと無理であるが、他の3章(実質はそれぞれ別の本)については約50ページずつなので、中級の人ならそれぞれ1日で完読できて達成感が味わえる。この著者の文法書を1冊読了するのは並大抵のことではないから、得難い本である。 昭和初期の例文は、80年経った現代にはそぐわなくなったものも当然若干あるが、大部分は十分実用になるし、関口文法をオリジナルで読む喜びが味わえる。
「常用句集」は旧漢字旧かなで旧漢字愛好派には嬉しい。
他の3章(冊)は戦後の版によるものなので残念ながら新漢字・新かなだが、活字のポイントが大きく言い回しが古いので、やはり楽しく読める。
このシリーズ全てに言えることだが、関口存男先生の著作は、あらゆるドイツ語学徒に自信を持ってお薦めできる。