最後にこの本の評価を星4つにしたのは続きのシリーズがあるという理由からです。
繊細で難しい話ではありますが作者の気持ちを理解できたその時には、この本が貴方の宝物になるのではないでしょうか…。
この作品で気づかされる二人の真の関係性・価値観のズレが
大いに面白く、人間的であるという点が、
私がこのシリーズに感じる最大の魅力だ。
もう一つの魅力は、レスタトのキャラクターである。
破天荒、頭脳明晰、だけど子供っぽく、憎めない。
読み進む度に新たな一面が見え隠れする。
人間が日々の生活で次第に考えが移ろいだり、人に与える印象が変化
したりするのと同じ様に、彼もまたそうなのだ。
ルイの出した本を引き裂いてしまう位の憎しみを感じて
レスタトが始めたのは、「自分がどんな辛い境遇に耐え、愛を求め、
賢明に生きてきたか」の説明だ。
それは冷酷無比の様な人物に描かれてしまった自分に
同情してくれる魂を賢明に求めている様に思える。
私は、そんな風に惨めったらしい姿をわざと見せて、
魅力的な容姿をちらつかせながら愛と理解を欲しているレスタトの
貪欲さ、卑しさ、美しさ・・・全てが愛らしく見えてしょうがない。
ハマったら抜け出せないのでお気をつけて。
人間であった頃から人並み外れたヤツだったことや、周囲の束縛に対する苦悩、それでも彼なりの哲学を持って何事も恐れずどんどん突き進んでいく勇敢さ。そんな彼の生き様に一喜一憂し、人生観について考えさせられ、かと思えばファンタジックなヴァンパイアの歴史に純粋にわくわくさせられ、とにかく色濃い一冊でした。哲学とアドベンチャーが両方楽しめる感じです。