付属CDについても触れておきます。まず日本語訳が、続けてスペイン語例文ないし単語が吹き込まれています。日本語訳を読んでいる日本人女性はプロのナレーターではなく学生アルバイトのようです。発声の訓練を受けていないことは一目瞭然。気にならない読者ならかまいませんが、料金を支払う以上はこういう素人っぽい吹き込み者を期待する人はそんなに多くないと思います。
スペイン語を読んでいる男性はcとzとsの発音を区別していないので中南米出身者だということが見て取れます。もちろんスペイン語の学習をする上で中南米の発音ではダメだということはありませんが、CDは店で視聴することが出来ないのですから、どういう発音で吹き込まれているのかテキストに明記しておく配慮がないのは残念です。
著者自身はコロンビア人です。この本にはスペインと中南米とで単語が異なる例がいくつか掲載されています。しかしどれがスペインでの例なのか、それとも中南米の例なのかが明らかにされないまま書かれています。例えば、「車をレンタルしたい。」というスペイン語例文が「Quiero alqilar un carro/coche.」となっています(105頁)。carroは中南米で、cocheはスペインで、「車」を意味する単語ですが、そうした相違に関する説明は一切ありません。
スペイン語の入門書は数多く出版されています。スペイン語を本格的に学んでみようと思って同じ金額でどれか一冊買おうというのならば、「CDレッスン 驚くほど身につくスペイン語」(高橋書店/ISBN:4471112139)を私はお勧めしておきます。私の“リストマニア“リストにも文句なく追加した一冊です。