17世紀最大の名将の一人の生涯
★★★★☆
プリンツ・オイゲンといえば、18世紀前半のヨーロッパを代表する名将であり芸術の芸時パトロン、オーストリア・ハプスブルグ家を一人で背負った国民的英雄として知られる人物です。特に、軍事史上の名将ぶりは素晴らしく、スペイン継承戦争や対トルコ戦争で活躍し、ナポレオンは古今最高の名将7人中に数えています(他は、アレクサンドロス、ハンニバル、カエサル、グスタフ・アドルフ、テュレンヌ、フリードリヒ2世。尚、別格としてキュロス2世)
日本では、オイゲン公については、長い間、クラウゼヴィッツの「戦略論」や、ヴォルテールの「ルイ14世の世紀」等のわずかな情報しかありませんでしたが、近年、飯塚信雄著「バロックの騎士・プリンツ・オイゲンの冒険」も刊行され、この17世紀最大の偉人の一人もようやく知られるようになってきたのは良いことです。
そして、西欧史全般に言えることですが、身近な日本人の書いた解説書に手を出さず、まずは定評ある翻訳ものがあるなら、そちらを優先に読むことをお勧めします。(日本人向きの解説書の多くは、知識不足の日本人向きに、日本史の例えなど持ち出す本が多いのですが、そういった本に内容豊かなものは無いといって良いと思います)
本書は、オイゲン公の生涯全般を丁寧に扱った貴重な伝記として、ヨーロッパ史や軍事史に関心のある方に一読をお勧めします。