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ホーミニ・リッジ学校の奇跡! (sogen bookland)

価格: ¥1,890
カテゴリ: 単行本
ブランド: 東京創元社
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タフな姉さん先生vs悪ガキの輝かしき日々 ★★★★★
今回も訳者は斎藤倫子さん。
リチャード・ペックが描く古きよきアメリカの息吹が、全編に迸っている。
舞台はインディアナ州の田舎町、ホーミニ・リッジ。時は二十世紀初頭。
主人公のラッセルが語る、ホーミニ・リッジ学校をめぐる回想譚だ。

勉強なんか大嫌い。最新型の脱穀機に憧れるラッセル(わたし)は、学校なんか辞めて
ダコタへ出て働きたいと考える15歳だ。
だが、急死した女性教師の後任に、代理教師として着いたのは若干17歳の姉・タンジーだった。
いつもながら、ペックが描くところのアーリー・アメリカンの女性たちの魅力的なこと。
ここでは、タンジーがその役割を担う。読み進めば、あっという人物までもが
影ながらそういった女性像を象っていることがわかる。
悪ガキ連中と教師・タンジーとの攻防。
教室は一つきりで、複数の年齢の子ども(?といえない年齢の子もいる!)が学ぶ場所には
喧噪が渦巻き、ただでさえ勉強嫌いのやつらが仕掛けてくる難題が
ユーモアたっぷりに描かれる。
教育の理想というより、その必要性を見抜いていた彼女の熱い思いに、
ぐいぐい引っぱられるように、教室の空気が変わってくる。
もちろん、一筋縄ではいくはずもなく、彼らとの駆け引きには
ハラハラさせられっぱなしだったが。
タンジーの仮免許状取得のための教育長直々の諮問試験の件は、手に汗握る展開だ。

最新型の自動車に脱穀機……それらが目新しかった時代は、
文化が次の波を被ろうとする黎明期でもあった。

ペックお得意の、ラストで読者をあっと言わせる仕掛けにも満足。
くぐり抜けた日々は輝かしく、ラッセルやタンジーはもちろん、
読み手にも強烈な余韻で迫りくるものがあった。