中上級者向き
★★★★★
本書は約20件の憲法判例を取り上げ、
まず第一審から終結までの流れを概観し、
次に3つほどの着眼点を示した上で、
解説を付していくというものです。
一貫して憲法訴訟論に重点が置かれ、
裁判所がいかなる法律構成で事件を裁いていったのか、
また、代替的な法律構成は考えられないのかといった点が丁寧に説明されていきます。
そして最後には類題と考えるヒントが出題されています。
「入門」と銘打ってあるのが若干ミスリーディングですが、
本書では人権論や憲法訴訟についての基礎知識が前提とされており、
また訴訟法の知識も暗に求められています。
したがって全くのビギナーには向いていません。
また、再三申し上げたように、訴訟における憲法の使い方という、
いわばテクニカルな視点が重視されているため、
人によっては、拍子抜けかもしれません。
とはいえ、サイズも手頃、かつ法曹志望者には興味深い好著だと思います。