東大駒場の悲しき天使
★★★★☆
メリー・ホプキンの「悲しき天使」を聞くと1968年12月の東大駒場の緊張感がいまだに昨日のように蘇ってくる。私はまだノンポリだったが早稲田から遠征して社青同解放派との内ゲバと東大闘争の収束を目論む日共=民青、右翼らと毎日のように暴力的衝突を繰り返していた。寒くて食べ物も乏しく負傷者が教室にごろごろしており夜中は交代で屋上で歩哨に立った。そのときどこからか駒場校内に流れていたのがホプキンの「悲しき天使」だった。東大駒場での戦いは15日間にも及び風呂にも入らずひげもそらずさぞや臭かっただろう。メリー・ホプキンはポール・マッカートニーのバックアップでラッキーなスタートをきった。当時はフォーク系の歌手だと思っていたがこのCDを聞くとそうではない。ホプキンはウェールズ人かな?音楽は聴いていたそのときの状況や感情を喚起する作用がある。
素晴らしい!
★★★★★
ポップでアコースティックで歌良し、メロディ良しの素晴らしいベストアルバムです。購入するまでは一部の曲しか知らなかったのですが、全曲気に入りました。オススメのCDです!
「どれか一枚」買うなら、これ
★★★★☆
メリー・ホプキンは18歳の時にポール・マッカートニーに認められアップルと契約し、1968年8月のマッカートニー・プロデュースによるデビュー・シングル「悲しき天使」が大ヒットを記録したシンデレラ・ガールです。アップルからは2枚のアルバムと1枚のベスト盤、7枚のシングルをリリースしています。
この2枚のオリジナル・アルバムとの重複する曲がほとんどない、シングル・ヒット中心のベスト盤が本作品です。最も完成度が高いのはセカンド・アルバムと思いますが、ビートルズとの関係を考えながら聴くには、またメリー・ホプキンの入門編として聴くには、まずこのベスト盤がいいでしょう。
中でも特にお勧めの曲は、ヒッチコックの映画「知り過ぎた男」でドリス・デイが歌ったことで有名な「ケ・セラ・セラ」です。ドリス・デイは強く感情移入して(ある意味「演歌」みたいに)歌いあげていますが、この曲がさらっとポップに変身、最もビートルズ風な作品になってます。この曲が「アビー・ロード」録音時期である1969年8月にポール&リンゴと3人でわずか半日で録音されたという事実、またポールにとって「ケ・セラ・セラ」は父のお気に入りという大切な曲であること、またこの曲の歌詞が「レット・イット・ビー」のヒントになったと考えられることなど、興味は尽きません。結局メリー・ホプキンがこの曲のシングル化を拒否したことで相互不信が昂じ、ポールとの蜜月関係の終焉を迎える原因となったわけですが、メリーがこの名アレンジを気に入らなかったとは信じ難いです(よっぽどフォーク好き・ポップス嫌いだったんでしょうね)。
ほか「イーシャー・デモ」(ジョージ・ハリスンの別荘で行われたホワイト・アルバムのデモ録音)で聴ける「グッバイ」の完成形が聴けるだけでも価値があると思います。
何と言っても'Those Were The Days...'
★★★★★
クラシックぽいアレンジ(ブラスだったり聖歌隊だったり…)で、シンプルなメロディーが'ズガーン!!'と響く。
こんな唄い手さんがいたのですね。
表題作といくつかはP.マッカートニーのプロデュース。
クセのない透き通った声が、心に沁みます。
抗し難き声の魅力
★★★★★
全世界で大ヒットのThose Were The Daysを冠した、ベストものとしては決定版といえる作品。アナログ時代、廃盤となってからプレミアがつくほどの人気タイトルだったので、CD再発はファンには福音といえるものだった。彼女の指向する芸術的本質が全開したEarth Song/Ocean Songでの表現とポップスターの側面を網羅する優れた作品でもあり、初めて彼女の歌を聴いてみたいという向きにはオススメの作品だと思う。
今聴いてみて歌に込めた想いの強さ、表現力において魅力的なのは非ポップサイドで、その多くがシングルB面に充てられているのは面白い事実である。豪勢な、時に過剰なアレンジが施された作品に比べると、これらの曲は簡潔で無駄がなくかつ彼女の声を十二分に生かしている。Earth Song/Ocean Songから収録された曲群、瑞々しい情感を湛えたtrack.10、快活にそして可愛らしい唱法が楽しいtrack.11など彼女の主張したかった音を聴くことができる。一方、世界音楽に向いていたP.マッカートニーの路線でお仕着せの曲を「歌わされていた」のかもしれないポップサイドではあるが、彼女の歌声が届くために必要な大衆性であったのも事実だ。懸命に歌う彼女の健気さと曲自体の素晴らしさも見逃せない。低く高く、かすれた風情を帯びながらも伸びやかで、優しさに満ち溢れたその声はポップス史上屈指の美声だと思う。良し悪しはあるとしてもほとんど全ての曲にその天与の歌声は活きており、それが彼女の最大の武器だったのかもしれない。