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緑の世界史〈上〉 (朝日選書)

価格: ¥1,785
カテゴリ: 単行本
ブランド: 朝日新聞
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人類による自然環境改変の歴史 ★★★★★
かつてイースター島に栄えた文明は、森林を破壊し尽くしたために滅亡した。イースター島を地球に置き換えると、閉じたシステムの中で有限の資源を再生産不可能な速さで消費し続けることに戦慄する。

狩猟採集の生活を営んでいた人類は、約1万年前から緩やかに農耕を取り入れ、定住社会を拡大していく。余剰生産物は文明を生み、人類による自然の改変は加速する。

大規模な環境破壊は、ヨーロッパ勢力の台頭とともに世界中に広がった。その背景には、人間中心的な宗教観、科学的知見の増大と技術の発達がもたらした「進歩」の概念、そして経済学の発展があり、このような思想がヨーロッパ勢力の行動を正当化させた一面があるという。さらに著者は指摘する。経済学最大の欠陥は、地球の資源を資本として扱っている点にあると。地球の資源が有限であることを見過ごしていると。

そのほか、気候や生態系などの科学的基礎知識、商業的意図による動物の大量殺りく、外来種の移入による在来種への影響、植民地とプランテーションがもたらした第三世界の貧困等について述べられる。

とにかく膨大かつ詳細なデータを用いた議論に圧倒される。世界人口の推移や年平均気温の変動(ただしイギリスの)を表したグラフもあり、資料として手元に置いておいて損はない。
この本は名著です。 ★★★★★
イースター島の悲しい歴史が第1章に配置される所に本書の主題が明らかにされています。
人類5万年の世界史を語るときに、ちっぽけなイースター島が第1章を占める。
それほど、この島の歴史は重要なのです。

続いて、シュメール、インダス、ギリシャ、ローマ、マヤ等の古代文明の姿が冷静に描かれています。人類がそこにある植物、動物を利用して繁栄を築き、そして資源枯渇により衰亡した姿を、作物と家畜の性質や収穫量を挙げて丁寧に説明しています。
最後に現在が人類史のクライマックスであることを人口、燃料消費量等のグラフを用いて丁寧に説明しています。

著者は細かい史実にも造詣が深く、うならせるものがあります。
名著であります。

詳細な記述に説得力あり ★★★★★
自然保護という話をする上では、好著である。自然環境がどの様に破壊されてきたかを世界史という形で紹介されており、実際、世界各地の経過を詳細に語る事によって説得力をもたせている。

また、光合成は太陽エネルギーが生態系に導入される唯一の経路、などと随所に科学的要点が織り込まれており、単なる歴史の教科書ではない点が優れている。環境は、人間が農業を始めた事によって破壊されだした、というのが根底に流れているが、その農業を意識しなくなっている現代においては、やはり環境悪化は避けられないのだろうかと、考えさせられる一冊である。