赤川次郎の時代小説
★★★★☆
子供の頃に出会って以来この方、彼の作品は多岐に渡っているが、時代小説だけは書かないと思っていた。
どっこい、鼠小僧の話である。
この話での次郎吉は、妹の小袖と二人暮らしだ。小袖は女だてらに小太刀の名手で、嫁の貰い手はない模様。はきはきした物言いといい、「三毛猫ホームズ」の晴美を髣髴させる。
次郎吉や小袖が出会った人々や事件を描いた短編集で、これまでと同様、読みやすさには太鼓判を押していい。そしてカタカナがないためか、ちょっとばかり、いつもより軽さがない。それがいい。
次郎吉も小袖も、いい連中だ。
レギュラーは兄妹だけだが、これに馴染みの同心でも作れば、ドラマに向いているだろう。「水戸黄門」枠でもいいかもしれない。
時代小説が苦手な人にも、かなりオススメ。