優しさと力強さ
★★★★★
アイルランドのトラディショナル・ミュージック・バンド、CLANNADのリード・ヴォーカリストであり、ENYAの姉であるMAIRE BRENNANの、'92年発表の初ソロ・アルバム。
アイルランド出身の女性ヴォーカリストの作品というのは、たいてい透明感のあるヴォーカルと、穏やかな楽曲のセットというのが決まりのようになっているが、本作は、流石実力、実績のあるバンドで活躍しているだけあって、類型の作品から一歩も二歩も抜け出した作風となっている。
確かに本作にも、いかにも現代のアイリッシュ・ミュージックといった曲も含まれている。その一方で、ドラムでしっかりとリズムを刻んだ、タイトで力強い曲が入っており、これが強力な存在感を放っている。
そのあたりは、バンド活動で培われたセンスが活かされているのだろう。
それプラス、ソロ作品らしい、より幅のある音楽性が足されているのだ。
よって、本作は、伝統的でありながら、現代的にも近く、本当の意味でモダンなアイリッシュ・ミュージックと言うことが出来ると思う。