勇気を持って楽しむ
★★★★★
恐ろしげな表紙のままに、第1話「ザムザ復活」から圧倒されてしまう。
追い詰められ、虫に改造された主人公の復讐。
納得できる結末ではあるが、その生々しい描写に嫌悪感をおぼえた。
しかし、やはり、生命の尊厳を描く手塚治虫の本質から得られる安心感は健在です。
第2話では、思春期の少年が微笑ましく描かれ、表紙の恐怖感など忘れてしまう。
子供たちは感受性を豊かにし、大人は込められた社会問題、歴史問題に気付く。
書きたいものが多すぎて、時間が無いという。 身近なものから世界の古典、宇宙まで、あらゆる創作の種を貪欲に吸収、昇華させる。 締め切りに追われても、まったく破綻しない筆力。 漫画の神様にはまだまだアイディアが残されていたことを実感できる怪作。