MOTOWNからデビューしたジャクソン5は、ビートルズでさえ成しえなかったデビューシングルから4枚連続での全米1位を達成したグループであり、そのメインボーカルをとるのがこのマイケル・ジャクソン。今やマスコミから執拗にバッシングを受けながら様々な疑問や疑惑が飛び交っているが、このアルバムで若き日の澄んだボーカルを聞けば疑うことなどバカバカしくなる。実際に、こんなに澄んだ歌声を披露していた時期でさえ、普通の少年たちのように遊ぶことも許されず、ひたすら多忙なアーティストとしての生活を強いられて孤独だったことはHISTORY収録のCHILDHOODで告白しているが、それ故に人一倍子供に対する憧れ、愛情があるのだ。
このアルバムはスリラーなどで大躍進を遂げるよりもずっと前に、ジャクソン5に属しているボーカリストとしてのソロアルバムであり、10代前半の幼さの残るボーカルを披露。だからそれが逆にボーカリストとしての凄さを見せ付けてくれるアルバムにもなっているのだ。I WANT YOU BACKやABCなどのノリの良さで魅了するアップなヒットシングルを連発していたバンドとは違い、ソロではモータウン仕様のボーカルに焦点を当てた楽曲が並べられ、純粋に澄んだボーカルを楽しめるのだ。
全米1位を獲得したBENを初め、多数の名曲を搭載。アルバムも全米5位のヒットになっている。1972年作品。