バリトンのような声、よく伸びる!
★★★☆☆
しばらく新しい歌手にはすぐに手を伸ばさなかったのですが、
最近は、ちょうど世代交代の時期でもあるし、色々有望な新人歌手が出てくるので、
進んでデビューアルバムを聞くよう心がけています。
このアルバムは、カウフマンのアリア集としてはデビュー盤のようです。
2・30年前ならいざ知らず、遠く日本にいて、
わざわざドイツ人のイタリアオペラを聞くこともないかなと思っていましたが、
やはりイタリアオペラのアリアは少し違和感を覚えました。
歌われている曲が比較的軽い声用なのに、この人の声はとても太く、
まるでバリトンが歌っているのではないかと思うところが大きいかも知れません。
しかしフランスオペラは、重い声にもかかわらず、とっても合ってる気がします。
特に最後のウェルテルのアリアなどは、この人に合った曲想で、
とてもドラマティックに仕上がっています。
ワーグナーは、少しまだこの人には早いのか、
一生懸命美しく歌うことにだけ専念しているようです。
まだまだワーグナーの分厚い管弦楽に声が埋もれてしまっていて、
ハラハラと聞かなければなりませんでした。
でもどの曲も声が良く伸びていて、しかも若さに溢れた力強さや勢いが、
聞いていて本当に励みになりました。
まだまばデビュー盤ですから、これからが楽しみです。