オリジナル&フルサイズの「エイトマン」を聴くために。
★★★★☆
2005年、SMAPの歌によりNTT東日本“フレッツ光”のCMで大量に流れ、NHK-FMの長時間特番『今日は一日 アニソン三昧』でも06年・07年と2年連続、克美しげるの歌によるオリジナル版がオンエアされた「エイトマン(エイトマンのうた)」。マエタケこと前田武彦が作詞、《クレージー・サウンドの父》こと萩原哲晶が作曲。「ゴマスリ行進曲」を彷彿とさせるダイナミックなサウンドが、聴き手に無限のパワーを与えてくれる大傑作である。通販扱いの全集ものに収められているのを別とすると、「エイトマン」の、それもフルサイズのレコード・バージョンが聴ける、現在おそらく唯一の現行盤がこれ、ということになる(追記:その後『ハイそれまでョ 萩原哲晶作品集』にも収録された。なお、克美の歌そのものは、TVサイズの方が若干うまい)。
アルバム全体としては、いかにもテレビ初期といった感じの、古めかしい、ゆったりとした楽曲が並んでいて、実際にノスタルジアを感じつつ聴くことができるのは、昭和30年代後半までに生まれた方かと思われる―そこからオレは、微妙に外れているのだ―が、オレのような“知らない世代”が聴いて、まったりとしたひとときを過ごすのも、これまた悪くはないかもな、と思った。良心的な解説もついている。ただ、基本的にはオリジナル音源にこだわっているのにもかかわらず、「月光仮面は誰でしょう」は後年録音のコロムビア版で、はっきり言ってこれは興ざめなのではないか。
なお、他の収録曲のごく一部についてメモしておくと、カリプソ調の中原美紗緒「あんみつ姫」は、キュートな感じがグッド。 「スター千一夜」のテーマは、おそらくもっとも初期のタイプ。「おとなの漫画」のエンド・タイトル曲(歌は植木さん)はCD化済みだが、クレージー関連の音源としてはレアな部類のもの。「鉄人28号」は“グリコ”入りのフルサイズ版だ。