確かに得難い「事典」だが・・・
★★☆☆☆
読みやすいが見通しの立ちにくいウィトゲンシュタインの本を理解するための、得難い「事典」です。・・・が、A「日本語が妙にカタイ」、B「説明が図式的に過ぎる」、C「キーワードの解説が著者自身の解釈に拠りすぎている」等々、難点も多い。A・Bは我慢しようと思えばできるし、ウィトゲンシュタインの哲学をてっとりばやく「解説」しようとすればCに陥るのもしょうがないのかも知れない。でも、キーワードを調べるだけなら、よく整理された解説書を調べればことは足りるので、本書に固有の価値は「手軽さ」だけということになるのではないか。ウィトゲンシュタインの書いたものからある言葉だけを切り取ってきて、それを解説する、という作業が、彼の哲学を理解するうえであまりあてにならないことが再確認される。