冒険家、ではない著者がいる
★★★☆☆
大場満郎が南極大陸横断中、ラジオの電話インタビューに答えていた。当時、このような通信機器の進歩には魂消(たまげ)たし、リアルな音声にホントに南極なのか、といった失礼な感想までわいた。それまで大場がどのような方なのかまったく知らなかったので遅まきながら北極単独徒歩横断の模様が記されているこの本を読んだ。農業から冒険家へと転職したいきさつが書かれており人となりが何とか理解できた。北極横断挑戦二回目に凍傷のため足の指と手の指の一部を失い、四回目に成功するのだが救援電波を発信しても助けが来ない心理的葛藤を描いたくだりは壮絶である。冒険と関係ないエピローグの記述に目頭が熱くなった。南極横断冒険記を早く読みたい。