タイトルにした“自らの過去を直視する勇気をもつ、全ての人たちへ”とは、このアルバムのブックレットの、Thanks to・・・に挙げられている、リックに個人的に関わる人たちに続いて、最後に書かれているもの。そう、このアルバムは、リックが「ザ・ウォール」から「鬱」の頃にかけて経験した、自身の精神的危機から脱した後の境地にいるからこそ、このように聴く人に爽やかに呼びかけられる自信に発しているのだろう。
音楽的には対にやや近いが、彼の穏やかな世界観やヴォーカルが、聴く者を魅了する。
Reaching for the RailとBreakthroughで、シンニード・オコナーが参加しているのも非常に興味深い。前者では、リックとのデュエットを聴くことができる。
個人的には、ピンク・フロイドメンバーのソロ作品では、シド・バレットの「帽子が笑う、不気味に・・・」、「その名はバレット」と共にベストと呼べる、非常に思い入れが強い作品。フロイドファンは、ソロ作品というとデイヴとロジャーのものに目が行きがちだが、是非聴いてもらいたい一枚!