気に入っているのは「ゆず・きんかん」のページ。黒いクロスの上に黄色の柚子が無造作に載せられている写真は、きりっと引き締まった緊張感と美しさがあって、グラスの中のサイダーときんかんのコンポートもとても美しい。
生活の中のそういう美しいものを思い出させる本だと思います。
この本はもう既に他の料理研究家やデザイナーなどが紹介しつくしてきた世界と、昔から多くの家庭にあった暮らし方を見せているだけ、というのが正直な感想です。もちろんこの本で初めてそのようなものに出会った人にとっては、新鮮でステキな本だと思います。
「大事なものはポッケの中に」というお母さまの言葉こそ真実だと思います。
やたらにポッケから出してひろげて見せるものではなく、しまっておく大切さを考えさせられました。大事なものが消費社会の中に迷いこんでしまわないように。