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マグレブ音楽紀行 第1集〜アラブ・アンダルース音楽歴史物語 (2CD)

価格: ¥4,515
カテゴリ: CD
ブランド: ライス・レコード
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衝撃のアンソロジー! ★★★★★
う〜ん、これは衝撃!つひに期待のアンソロジーが発売されました。CD二枚組の『マグレブ音楽紀行 第一集〜アラブ・アンダルース音楽歴史物語』。日本の田中勝則さん編集のライス盤です。

世界中のポピュラー音楽の中でも、最も甘美なメロディを持つ音楽なんぢやないかと個人的には思つてゐるアラブ・アンダルース(アンダルシア)音楽。地中海沿岸のメロディアスなポピュラー音楽は、全部このアラブ・アンダルース音楽のDNAを受継いでゐるのではないかと思ふくらゐです。

そのアラブ・アンダルース音楽の集大成的アンソロジーつていふのは、古典ならば今までもありましたが、その子孫ともいふべきポピュラー音楽の、それもマグレブ地域全般にわたるアンソロジーは、これだけ広く深く収録したものは、恐らく世界初だと思ひます。

アラブ・アンダルース音楽といつても、その担ひ手は、アラブ人、ユダヤ人、ベルベル系(カビール人など)と民族は広範にわたります。地域も、元々の発祥の地であるイベリア半島を始め、モロッコ、アルジェリア、チュニジアといつたマグレブ地域、さらに、それらを植民地にしてゐたフランスの首都パリなど、各地で展開されてをり、それらを明快に分析・編集してみせた編者の田中さんの手腕は見事の一言。正直言つて田中勝則さんが、マグレブ音楽の研究にこれだけ入れ込んでゐるとは知りませんでした。いやあ、こんな凄い編集盤を作れるなんて素晴しいことです。

さて、アラブ・アンダルース系ポピュラー音楽のアンソロジーといへば、去年日本盤が出た『アルジェリア音楽集大成』といふのがありましたが、これは、あくまでアルジェリアのみが対象だつたし、ユダヤ人歌手の意識的排除といふ致命的な欠点がありました。それらの欠点を補つてあまりある、今回のこの二枚組。曲の配列も年代順と筋が通つてをり、また、『アルジェリア音楽集大成』で聴かれたやうな長い曲のフェイドアウトといつたこともなく、まことに素晴しいアンソロジーであります。実際、田中さんがこのアンソロジーを思ひついたきつかけも、『アルジェリア音楽集大成』に対する不満だつたらしい。

先に書きましたやうに、アラブ・アンダルース音楽といつても、その担ひ手は、アラブ人、ユダヤ人、先住ベルベル系、と人種・国境を越えてマグレブに根付きました。地域や流派によつてマルーフ、ハウジなどと呼ばれるし、より大衆的なスタイルはシャアビと呼ばれるのはご存じの通りです。いはばマグレブ音楽の基盤ともいへるジャンルで、この二枚組アンソロジーはそれらを具体的な音源に沿つて解説していきます。舞台は時に本国であり、時にはパリと、それぞれのシーンについて歴史的な関係と対比も加へて、この音楽歴史物語は進みます。この構成が本盤の白眉でせう。

さらに、三十ページを越える微に入り細に入つた極めて詳細な解説ライナーが圧巻。今までおぼろげにしか分らなかつたマグレブ音楽の歴史・本質が快刀乱麻の明快さで解き明されてゐます。これだけで音楽書一冊分に相当する価値があるものだといへませう。

しかし、なによりも素晴しいのは、ほとんど初めて聴くいろんな曲が、どれもこれも、身震いするほど美しいといふことです。

解説なんか無視してただボケーッと聴いてゐても、満ち足りた気分になります。これは、この手のアンソロジーを編纂する際忘れられがちなことですが、素晴しいことです。つまり、資料的・歴史的価値を重視しながらも、そして、実際、マグレブ音楽の歴史が実に明快に音で分るのにもかかはらず、音楽的美をないがしろにしてゐないといふことです。いかにこのアンソロジーが素晴しいかといふことの証左です。

さて、第二集も四月以降に予定されてゐるとのことで、非常に楽しみです。ちよつと気が早いけど、僕の2008年ベスト1は、もう決つちやつたみたいなもんです。

いや、ホント、掛値なしにホントに素晴しい二枚組ですので、是非多くの人に手にとつて聴いてみてほしいです。