インターネットデパート - 取扱い商品数1000万点以上の通販サイト。送料無料商品も多数あります。

年金問題の正しい考え方―福祉国家は持続可能か (中公新書)

価格: ¥903
カテゴリ: 新書
ブランド: 中央公論新社
Amazon.co.jpで確認
強い問題提起の1冊 ★★★★★
気鋭の社会学者による好著。未納問題を重視せず、世代間の格差問題もあえて些末なものと小気味よく片付けていく、テンポのよい良書である。なるほど、他の読者が指摘するように、消費税財源化などを論じる際には、やや我田引水的に引っ張るところがあり、また分析も一見緻密なようでいて、実は持論と合わない部分はやや流しながら半ば無視して行くような面が見られ、これがこの書に対する評価の分かれるところである。ただ、年金制度自体の課題を大きく論じるものとして、問題提起の観点からすれば、一読して然るべきであろう。未納問題、消費税化などを提起する、筆者とは立場を異にする他の論述などもあわせて読むことをお勧めする。
既得権に偏重している ★★★☆☆
前半の制度概要の説明および04年改革の論点などはよくまとまっている。
ただ、今後の改革に対する議論がちょっとピントがずれている。
消費税化の論点は、はっきり言えば急増する非正規雇用者に一定の生活保障をする点
にあり、資産形成の機会が無い者、あるいは「どうせ生活できないから生活保護でいい」
と諦めている者へのセーフティネットを作るための改革案である。
筆者の言うように「未納でも支給に支障はない」というレベルの話ではない。

それと、この筆者は全体的にどうも既存システムに偏重するきらいがあり、そのために
巧妙に論点をすりかえている部分が目につく。
たとえば三号問題。「世帯拠出が同額なら支給額も同じ」といっているが、
問題は「共働きで2倍収めても2倍はもらえない」という点にある。

それと、「消費税化は納税意欲を削ぐから機能不全を起こす」のなら、なぜ税支援化
であれば問題ないのか。
うがった見方をすれば、ご自分の既得権を大事にしているの?と感じてしまうのだ。

とにかく、見所はあるものの、入門用として幅広い人に勧められる本ではない。
ま、社保庁の仕事振りに腹が立つのは、誰しもなんですが… ★★★★★
 年金制度の未来にとって未納問題も、社保庁の無駄遣いも職員の弛緩し切った仕事振りも副次的な問題に過ぎない。少子高齢化はもちろん問題だが、73年スキームはこの問題を措いても維持不可能な大盤振る舞いだった。04年修正は正しい方向に踏み出しているが、せいぜい制度を30年程度延命させたに過ぎない。
 まず大前提として、公的年金制度の維持は国民にとって有益である。しかし現行制度ではいかにシミュレートしても破綻は不可避(使われる数学は高校初年級レベルか)。最大のハードルは団塊世代ではなく、75年以降生まれ(三浦展などの言う「真性団塊ジュニア世代」)の引退期にあたる2040年代である(p72)。持続可能で透明性の高い制度の設計が喫緊の課題である。
 これに際し、著者は公正性の観点からいくつかの留保を設ける。まず年金財政は、現役世代と高齢者世代が「公平」に負担を分かち合うべき。その意味で積立方式や消費税方式は望ましくない。特に後者は、企業負担軽減化の他に見るべき利点がない。むしろ年金制度の空洞化を招き、労働意欲を削ぐ恐れがある。また世代間対立を煽る(p221)。この点、つい先日厚労相に就任した舛添要一氏がTVで「やはり消費税化が望ましい」と発言していたのが気になる。議論を尽くして欲しい。
 ただ、三号被保険者の扱いが厚生年金加入者との比較では不公平でないと論じる件りで気になる点があった。著者は専業主婦世帯・共稼ぎ世帯の世帯収入を共に2xと置いて計算し、拠出額も受給額も等しいという結果を導く(p204)。しかしこの設定は、モデルに相応しいだろうか。もう少しいろいろなケースを比較検討しないと、容易には納得しがたいと感じた。
年金は確実にもらえます!という本 ★☆☆☆☆
 人口変化と経済変化について、明確で確実な予測があれば年金制度は維持できると著者はいう。
 そのようなものどこにあるのだろうか。著者のいう「教科書的経済学」であろうが専門家の
 議論であろうがそのようなものはないだろう。
 あるいは著者がやればよいことであろう。
 この本は主に「年金制度」についての書物である。
 その点からいって、私たちが年金を貰えなくても「年金制度」が維持されればこの書物の
 主張はあたっていることになろう。
 ・・誰のための本なのか?
 あとがきで年金記録紛失問題について少し述べられている。しかし著者は「持続可能な」制度の
 設計に比べれば問題としてははるかに簡単なことと述べている。
 この点についても、制度が問題であり、記録が紛失していようと、その後発覚した
 年金記録を、横領のやめに社保職員が抹消したことも些細な問題とされるだろう。
 著者が引用する論者もこのような引用のされ方をしては少々迷惑なような気もする。
 とりあえずは明確で確実な著者の予想を待ちたいと思う。
大筋賛成 ★★★★★
1973年モデルは「できそこない」というが
この点は数年前に、野口悠紀雄氏が「厚生労働省の計算間違い」
として指摘している。
いわゆる「5万円年金」は、当時、田中角栄の意向を反映した
ものであり、厚生官僚だけを叩くのは間違っている。
改善に力を注いだ官僚がいたことは、よく知られたことだ。

マクロ経済スライドでは、対処法として、まだ不足としているが、
当該法律では、所得代替率が50%を下回ると予測される場合には
制度を再度見直すことになっている。結局、年金制度とは
給付と負担がすべてであり、著者のいうような「破綻シミュレーション」は
あり得ない。この点、著者は十分わかっているようだが。

それにしても、共済年金が有利なことを書かないのはナゼなのか。
いうまでもなく、著者自身が東大教授であり、制度の恩恵を
受けるからに他ならない。