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知覚の扉 (平凡社ライブラリー)

価格: ¥945
カテゴリ: 新書
ブランド: 平凡社
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サイケデリック体験を思想にまで深める、抜群の知性が感じられる。 ★★★★★
思想家にして小説家のオルダス・ハクスレーが、神秘体験を得るため、自ら幻覚剤メスカリンを服用した体験を綴ったドキュメンタリー。英文タイトルの”The doors of perception”は、かのロックバンド”The doors”の名前の由来になったことでも有名である。

諸般のサイケデリック体験記やドラッグ文学とは比較にならない、稀代の知識人ハクスレーならではの、知性に裏打された深い洞察がこめられた本書は、哲学書の様相すら感じさせる。

本書の基盤になるのは、脳についてのある仮説。その仮説によれば、脳というのは知覚を司るのではなく、本来人間が知覚できる宇宙の森羅万象を、人間の生活に支障をきたさないレベルに制限する減量バルブの役目を果たすにすぎないのだという。メスカリンを服用することで減量バルブの箍が外れ、本来人間が持っている知覚の扉が開き、物事のあるがまま、本質が見えるのだという。

この理論を基に、ハクスレーが体験した様々なヴィジョンが解説されていく。中でも興味深いのは、絵画に対する見方である。ハクスレーによれば、芸術家というのは脳の減量バルブが開いており、対象の中に真実を見出さざるを得ない人たちなのだそうだ。そして芸術家が描く真実は、えてして絵画の中の衣服や布地の皺に現れるという。

神秘主義についての考察も興味深い。ヨガ、苦行、座禅など神秘体験をもたらすメソッドは、肉体の能力を弱め、結果脳の機能を低下させ、メスカリンと同様の効果をもたらすにすぎないとしている。つまりメスカリンを使うことで、宗教的な高みに上ることが可能ということらしい。現在、日本でメスカリンが非合法なのは残念な限りである。

心理学の本として、美学の本として、哲学の本として、そして何より抜群に面白い体験記として、この本には★5つを献上したい。
中沢新一好きには自信をもって薦められる一冊 ★☆☆☆☆
 幻覚剤メスカリンの服用を契機に著者ハクスリーがノックした「知覚の扉」。そうして彼が
垣間見た世界とは「眼の前に外在している世界」、彼が「見ているのはアダムが創造された
日の朝彼が目にしたもの」、「あるがまま」のもの……
 そして、かつて目撃したその世界はまた、ゴッホやボッティチェッリら偉大なる画家たちが
記述せんとしたものと寸分たがわず同じだ、と彼は言うのだが……

 彼が書かんとしているものは分からないことはないし、個人的な経験の範囲内では決して
彼の説かんとするものをカルトの一語で片付ける気もしない(もっとも、これを単なるカルト
トリップとして片付けようとする人はいるだろうし、その立場が誤っているとも思わない)。
 ただし、とにもかくにも、ハクスリーの用語法は不規則、不用意、不正確かつ一貫性を欠く
こと極まりない。経験の解釈の仕方も完全に破綻している。
 ハクスリーに何らかの共感を抱くことがあるならば、アルトゥール・ランボーをフランス語
原文でとりあえず1000回読み返して、『ヨハネ福音書』の冒頭を10000回書き写して、その上で
議論を構築し直した方がいい。
 オルダス・ハクスリー、悲しいかな、論理能力がおよそ欠けている。
 まあ所詮、ドラッグに頼らなければその世界を覗き見ることもできないような、資質に
乏しい凡庸な人間に過ぎないわけで、それも当然か。

 とはいえ、彼の記述の失敗はひとえに彼の力不足、その対象そのものはあながち間違えては
いない。正確な表現を欲する方は、ヘルメス錬金術のテキストやヤーコプ・ベーメ『無底と
根底』などをあたることを薦める。意外と思われる向きもあろうが、例えばカントの『純理』
とて決してこのテーマを逸脱するものではない。否むしろ、ハクスリーの愚かさを理解する
ためにはまたとないテキスト、とさえ言える。
哲学体験 ★★★★☆
ありていに言えば、脳に作用する薬物服用の実験記録。
しかし、その実、ある種の哲学書のようにも思った。

薬物によって感覚知覚を故意に変化させ、肉体から漏れた精神に世界を認識させる。
その結果、精神体となった服用者の目には、世界がどう見えたかを物語のように綴っている。
もちろん、作者自身が服用者である。

哲学書としては、読んでいてもおもしろいという異例のものなので、おすすめです。