古典?
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世の無常、恋の道の不確かさにため息をつきつつ作る和泉式部の返歌はあまりにも才気に溢れ、敦道親王を虜にする…和泉式部は何度も敦道親王を挑発するような返歌を贈っているが、それは、非常に対等な恋愛状態の手紙に見える。妻子ある男が通ってくるのを待つ多数の女のうちの一人としての手紙ではなく、現代と同じ恋する女として気持ちが伝わってくる。「嫉妬されるのは、うれしいの、それだけ思ってくれている証拠だから」…山篭りしても遣わされる宮の手紙に「じゃぁ、私を引き戻しに来て!」
斬新な新釈多数、新しい基本書
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女子大での教科書として使わせていただきました。
和泉式部日記の作品としてのすばらしさはもちろんなのですが、特にこの注釈書は、注釈者の新しい解釈が前面に出ていると思います。またそれが、作品解釈上大きな説得力を持っています。たとえば和泉が最初に敦道親王に贈った「薫る香によそふるよりは不如帰」の歌、従来は「死んだお兄様なんてもういい」と弟親王を誘う歌で彼女の「魔性の女」ぶりが読まれてきたのですが、著者は「生前と変わらぬ声をしているか、死んだ宮様の声をもう一度聞きたい」と、故兄宮への愛執を詠むと解釈します。男性があてがった(と思われる)小悪魔趣味から和泉を解放してくれる、新しい読みの可能性を示していると思います。女子大生達には共感の嵐でした。そのほかも魅力ある新釈や資料が盛られ、利用価値大。
日本最高の女流作家
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この日記を読むと、源氏物語が悪文だというのがわかる。内容はともかく、文章の美しさは、古典現代を問わない。
こちらの角川版は、注釈の入れ方などが適切で非常に読みやすいのでお勧めです。源氏は話は面白いから、現代語訳で、和泉式部は原典で・・・。