Take Love Easy
価格: ¥831
エラ・フィッツジェラルドは、なにを歌っても抜群にうまい。さらに、スキャットの第一人者でもある。『エラ・イン・ベルリン』のような猛烈なライヴ盤があるかと思えば、本作のようなしっとりとした味わいの作品もあり、とにかく変幻自在だ。
これは73年に録音した、ジョー・パスとのデュオアルバムである。エラのデュオ作といえば、エリス・ラーキンスのピアノだけをバックにした『ソングス・イン・ナ・メロウ・ムード』が有名だ。しかし、本作はピアノではなくギターとの組み合わせ、しかも相手がヴァーチュオーゾ・シリーズで知られる名手ジョー・パスという点がなんといっても魅力的。企画の勝利といえる、会心の作だ。
この作品が評判になって、両者は76年から86年にかけ、『エラ&パス・アゲイン』『スピーク・ラヴ』『イージー・リヴィング』と、次々に続編を録音した。アントニオ・カルロス・ジョビンのボサノヴァをさりげなく歌う<2>、ビリー・ストレイホーンの名曲をヴァースからじっくり歌いあげる<5>など、どの曲も心にしみる。(市川正二)