西鶴という人
★★★★★
西鶴の生涯そのものについては、さほど詳しくは書かれていない(資料が殆ど無いため)のであるが、西鶴という人物を身近に感じさせてくれる本。
西鶴は、大阪というダイナミックな経済都市の市井にあって、自分も経済的な苦労をつぶさに舐めながらも、ユーモアを持ち続けた。文学の才能で、華やかな「悪所(=遊郭・歌舞伎界)」にも出入りしながらも、決して呑まれる事がなく、どこか醒めた眼で大量の作品を描き続けた。自分の死に臨んでも、潔い辞世の句を残した。格好の良い人生の人だと思う。
西鶴という人物の生涯を知る他には、第一章の「金銭を知る」が、現代にも通じる話が多くて、面白かった。
それに、元禄期の経済を市井から眺めた話として参考になった。同時期の経済を行政から書かれた本としては、他に「勘定奉行 荻原重秀の生涯」集英社新書も、良かったです。