関連する「歌群」をまとめて解読する
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1首毎に注解する在来の方法ではなく、関連する歌をグループにしてまとめて解説するユニークな万葉注釈書である。
例えば、大伴旅人の讃酒歌13首に「こまかな構図」が施されているとみる。第1首巻3ー338「験なきものを思はずは…」は序章で総論。酒の効能を大まかに提言している。続く第2首339「酒の名を聖と負せし…」第3首340「いにしへの七の賢しき…」は、大聖人と竹林の七賢人共に酒を好んだと前歌を実証している。第4首341「賢しみと物言ふよりは…」は第1首の具体化とみる。第5首342「言はむすべ為むすべしらに…」第6首343「なかなかに人とあらずは…」は前歌の主張の裏づけ。第7首を前歌を更に歌い継いでいる。(中略)第13首350「黙居りて賢しらするは…」は総まとめをして締めくくっている。全体が起承転結をなし内容が次第に深まっていると読み取る、この鋭さに驚嘆する。