せつない言葉
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タイトル「愛しいコトバ」は「かなしいコトバ」と読みます。
転校先の学校で言葉を話さない鈴森要(カナ)と出会った藤堂京介は、声の代わりにその表情や仕草や文字からカナの言葉を聞き取り、会話をし、笑い、電話だってします。
仲良くなり、素直で可愛いいカナに惹かれると同時に、話さず従兄弟の家に住むカナにはそうなった辛い過去と現実がある事を知り自分がカナを愛し守りたいと願います。
辛い現実を笑って流すように暮らしていたカナは、声がなくとも自分の言葉を聞いてくれる京介と出会い、真直ぐに「好きだ」と言ってくれる京介の強さと優しさに惹かれます。
京介にも過去も子供ゆえの歯痒い現実もあり、二人を邪魔する存在もいます。大人だったら何の保障も保護もなく生きていけるものかと思うかもしれないけれど、子供ゆえに「大人」から離れ大事な人と生きて行く事を選べるのかもしれない。カナと出会って京介は痛いほどの愛を知り、京介に愛されてカナは強くなった。
「愛しい」、心に染みて切ないぐらいにいとしい、そんな恋をした子供達の話です。