単なるリマスターではないような…。
★★★★★
最近手に入れたばかりなので詳しく聴いてないのですが、単なるリマスターではなく、リミックスとでも言いましょうか、これまで慣れ親しんできた「エレクトリックカフェ」と比べ、個々の音のレベルが変わっているみたいで新鮮な感覚で聴けました。一部にリアレンジされている部分もあるように感じたけど気のせいかも…。
注目の追加曲「ハウスフォン」は「テレフォンコール」のリズムトラックを使ったリミックス曲であくまでもおまけといった感じ。「エレクトリックカフェ」製作時には収録しないと判断された理由もなんとなく分かります。
ところで、「エレクトリックカフェ」がリリースされた1986年にはYAMAHA DX7ブームもやや一段落した感じがあり、若干「エレクトリックカフェ」の音はやや最先端からすると古くさく聴こえたものでした。今聴くと、バイオリンやマリンバ、エレピ、チョッパーベースの音など、プリセットのまま非常にシンプルに使っていて、その使い方が斬新だたんだなと感じました。やはりアレンジが上手なんですね。あの当時の自分の感覚からすれば、YAMAHA DX7はキーベロシティやアフタータッチも付いた16音ポリシンセであり、ミュージシャンのエモーショナルな部分を鍵盤タッチでリアルに再現できるツールであるという部分が画期的なのだから、クラフトワークのような使い方をするのはもったいないと思ったものでした。時代が2周りもした今だからこそ、正統に評価される作品であることは確かです。
それにしても70年代から85年ぐらいまでは次々と新しい電子楽器が登場し、音楽へのワクワク度が高かった時代でした。オルガン、メロトロン、アナログシンセ、デジタルシンセ、サンプリングシンセ、PCMシンセ云々…。あの当時をリアルタイムで多感に体験できた今のアラフォー世代は本当に幸せでした。
実は隠れた名盤!リマスターで音がさらに際立っている。
★★★★★
『エレクトリック・カフェ』から、本来最初からつけようとしていたタイトルの『テクノ・ポップ』にアルバム名が変更され「リマスター盤」として再発。
クラフトワークのアルバムはどれもシンプルな音数で構成されていて、それゆえに、年月がたっても新しい世代のリスナーにとっては、斬新に聞こえるという良さがあります。
私は個人的には本作が昔から好きで、『ヨーロッパ特急』や『人間解体』といった代表作よりも「聞き飽きない」ので、リマスターで音質が向上してのリリースは多いに歓迎しています。
本作の音場は非常に広くて、しかもタイトな音なので、流し聞きにも向いていると言えるでしょう。
6曲目の後半にエレクトリックベースの生演奏(!)がメロディーをファンキーに奏でるという、それまでのクラフトワークには決して無かったような刺激的な演奏もいきなり出てきます。
まだ聞いたことが無いリスナーには、ぜひともこのアルバムを聴いてみて欲しいと思います。
期待は裏切らないはずですから。
これはElectric Cafeではありません。
★★★★☆
長く聴き続けていたお気に入りの内の一枚。が今回のリマスターでアルバムコンセプトとしてはElectric Cafeとは別物です。A面(アナログ当時の)のノンストップミックスは変わりませんがM-4が別ミックス、M-5の追加=M-4のリミックス=、と編集盤になっており続くM-6、7も別の曲に聴こえます。残念なのはせっかくオクラ入りしたアルバムタイトルの復活ならTour de Franceのシングルver.(映画Break Danceのオープニングの、あれ)を最後に収録して、次作への橋渡し的になっていたら星6つでした。曲調もそんなにかけ離れてはいないでしょうし(御本人が聞いたら素人は口出すなと言われそうですが)。…まあ答えとしてはこれがTechno Popの完成品なんでしょう(神には逆らえません…)。今回のリマスター発売は過去の作品の清算により新生KRAFTWERK(以降はラルフプロジェクト的に解釈してます)の出発では?と深読みしてしまいます。(勿論フローリアン氏の脱退を機に) sampling voiceのざらざら感は当時の機材を物語ってますが残響音がまさにリマスター!新しいリバーブで仕上げたかのようにクリアーです。音圧も上がりいい仕上がりです。他作はまだ数枚しか聴いてませんが期待出来まっせ!
テクノ・ヒップホップ
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今回のデジタル・リマスターで最も好きな作品(アルバム)。
特に、3. Musique Non Stop〜4. The Telephone Call〜5. House Phoneの流れは最高である!
「Musique Non Stop」の強烈なロボ・ボイスから、「House Phone」のテクノ・ヒップホップとも言えるようなビートまで、リマスターされて現代に蘇えったというか、新生したような雰囲気である。まさに時代を超えて、いや、むしろ、ようやく時代が追いついた感がするのは大袈裟か?
カール・バルトスがかなり多くの関与を示していると思われるアルバムだが、やはりポップな部分へのバルトスの影響は強いようだ。
個人的には、このアルバムがクラフトワークの最高傑作と思う。
(カール・バルトスは、もう二度とクラフトワークへ戻ることは無いのだろうが.....、つくづく、残念に思う......。)
Tour De Franceのような、YAMAHAのシンセサイザーを多用した、ある意味洗練された音よりは、このTechno Popのようなヘビーなサウンドの、まさに「テクノ・ポップ(テクノ・ヒップホップ)」がいい!
ある意味「異質」の作品
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1983年にシングル「ツール・ド・フランス」を発売し、予定ではその年末あたりにはアルバム「テクノ・ポップ」として出るはずだった作品は、やがて「テクニカラー」に変更され、ついに発売されたときには「エレクトリック・カフェ」になっていた。それが今回のリマスターで再び「テクノ・ポップ」になって帰ってきた。前作のときにも気になっていたクレジットだが、やはり「演奏」に関しては「3人」であると記載されている。もはやシンクラヴィア導入で高性能なシーケンサーやドラム・マシンが湯水のごとく登場したこの時代、エレクトリック・ドラマーの2人の役割りは縮小し、主導権はラルフ&フローリアンの2大巨頭に移行していった。といっても本作収録の「Telephone Call」ではカール・バルトスがリード・ヴォーカルをとっている。そして今回初めてアルバムに「House Phone」が収録されている。これは「Telephone Call」のシングルにカップリングされていたものである。そのため「エレクトリック・カフェ」より1曲多い全7曲になっているが、注意点がひとつある。そのカールがヴォーカルを担当し、当時アルバム中最もメロディアスでハイライト的な曲であった「Telephone Call」は、本作ではシングル・ヴァージョンに差し替えられている。曲の後半のシンセ・ベース・ラインが丸々カットされているのは残念だ。
全体的にはサンプリングや空間エフェクトを駆使し、パワフルとも思えるドラム・サウンドやチョッパー・ベースの「音」が使われているのは、歴史を振り返ってみれば、ラルフ&フローリアン以外のメンバーが歌うことも含めて「異質」な作品であるともいえる。
本作でヴォルフガングは何を担当したのだろう?