米国の今後の道を示した記念碑的著作になる
★★★★☆
やはり、フリードマンも米国市民であったのだ、ということを
確認することになった内容の下巻。
愛国心というと言い過ぎなのかもしれないが、
上巻と違っていて、下巻は、本音が垣間見えて大変面白い。
スマートグリッドをはじめとする、米国がITで行ってきた
テクノロジー主導の社会基盤革命と同じ手法を、次はET
エネルギー技術の革新を生み出すことで、次の反映をもたらそう
という方向性は、オバマ政権でなくとも、世界の警察国家、盟主たる
米国の起死回生の決めてになる。
そういうことを、背中に迫る経済大国中国の事情を克明に描き
ながら、国家戦略としてのクリーンエネルギー、エコ革命
への施策主導での革新、そして、最後には強力に「グリーン・
ニューディール」を推し進める、リーダーシップを発揮する
大統領の誕生を熱望している。
本書が先か、オバマ政権が先かは定かではないけれども、
いづれにしても現政権、現大統領による、米国「復活」
(再生、RE)の方向性と一致している、もしくは一致させ、
国民の意識を鼓舞するために書かれたとしても、何ら不思議では
ない。日本にも、このような日本再生、日本復活の大きなシナリオ
が欲しい。
最後に引用された、1992年に、リオの地球サミットでの、
セバン・スズキという12歳の少女の演説は、胸を打つ。
エネルギー問題に対して希望を感じさせる
★★★★★
前作では、ネット化が世界のフラット化を生み、どこにいても仕事ができるようになる。新たな中産階級を生む。という筋でした。
フラット化することにより、エネルギー消費が毎年予想以上にあがっている。成長率を考えるとCO2のゼロエミッションでは問題解決ができない。新たなエネルギーを生むためのイノベーションが必要だ。そのためにするべきこと。という主旨で書かれています。
作者はデータをつくる科学者ではなく、データをわかりやすく紹介するジャーナリストです。たとえ話をもちいて興味深く読ませます。たとえば、中国のエネルギー需要を映画「スピード」に重ね合わせます。80キロを維持しないと爆発するバスは、中国の経済です。経済発展を前提にした計画ですので、成長率8%を維持しないと爆発します。
ジャレド・ダイアモンドの「文明崩壊」では中国のネガティブなところだけを書いていて幻滅していましたが、この本では希望も読み取れます。
たとえば、再生可能なエネルギーの義務化を政令したり、ポリ袋の有料化、ガソリンの無鉛化はアメリカに先んじています。中国のこのような取り組みから、希望を感じることができます。
記憶に残るたとえ話は、「有色人種差別」についてです。ドキュメンタリー番組で、昔の差別風景が放映されます。これをみて現在の人々は、「なんでそんなことを許していたんだ。昔の人は愚かだ」と思います。エネルギー問題も同じで、将来の世代の人々は私たちを見て、「なんて愚かだ」というでしょう。
難しい問題をとりあげていますが、楽しく読むことができました。全体を通してたとえ話やユーモアがうまく効いているのだと思います。
これからの時代の流れが見えてくる
★★★★☆
自分の中で、環境問題(地球温暖化問題)に対する意識が変化したのを感じた。
時間のある人はぜひ読んでみるべき。
これからの時代の流れが見えてきます。
■簡単に本書(上下巻)は以下のようにまとめられると思う。
・石油依存からの脱却
・テロリストへの資金供給路を断つ
・CO2を排出する「汚いエネルギー」からの脱却
・クリーンなエネルギーの開発
・風力、太陽光
・エネルギー利用の最適化
・経済的に最適化する仕組みを作る
今までよくいわれていた「エコ」とは一線を画する発想
・先進国と後進国との間の技術・富の適切な移動
■よくも悪くもアメリカ中心の発想が鼻につく
■地球温暖化に対する危機感がよく伝わってくる(あおりすぎ?)
⇒今までよく目にしてきたいわゆる「エコ」とは発想が違う
より現実的な提言となっている。(明日からこの取り組みが始まっても
おかしくないと思わせる説得力がある)
■「グリーン革命」という邦題については、やはり残念としか言いようがない。
上巻に引き続き、グリーンニューディールでアメリカ復興を!な内容。
★★★☆☆
米を旅して、WCで手拭き紙タオルのレバーを何度も押し自分の身長程も出す人や、マクドナルドで到底使いきれない程大量のケチャップパックを取り、その大部分を使わずにゴミ箱に投げ捨てる様を見た事はないだろうか?
とてもじゃないが見ていられないが、そんな生活様式が容認されてきた米だからこそ、これではダメだと思っている人も多く、経済競争に勝ち残り、異常気象の被害を少なくする為にはグリーンパワー<石油・石炭等のコストとの式に沿った手立てを講じなければ中国等に抜かれてしまう、との内容の本書が売れたのだろう。
オバマも本書を読んだろうし、それに沿った政策を発表した。
但し、“グリーン”が“公民権”と同じ道を辿るには、まだ様々な障害があろう。
古式燃料ロビイストだけでなく、各個人が総論賛成・各論反対とばかりにうちの裏庭どころか、近所やよく行くビーチ・その他に私の気に触る何かを目に触れるところに建てるな!と考えているからだ。
その意識をどうトップダウンで変えていくのか?
オバマにそれが可能なのか?
を出版を遅らせてオバマ就任後の動きもあとがき的に加味して出版して欲しかった。
92年の地球サミットでの子どものスピーチを未だに手本に使わざるを得ない、米の意識改革が読者に届くなら、それがたとえ$の為であっても意味があろうが、エコな行動に足を踏み込んでいる人にとってはここまでの長文を読む必要は無かろう。
はじめのSF小説っぽい、近未来のグリーン革命なった生活シュミレーションは面白かったけど。
アルカイダにグリーンで勝つ(第14章)が隠れた主題では?
★★★★☆
(下)に入ると、私たちの生活に密着した話が始まる。
第10章(エネルギー・インターネット)
これまで、電力は供給することだけを考えた一方的な流れだったが
太陽光発電など各家庭が発電するとともに、どれだけ電力を使用するか
という情報を逆に需要者側から供給者側に発信するような効率化した仕組みが紹介される。
この他にも、クリーン・エネルギー革命を起こすイノベーションのために
我々がとりうる具体的な制度や、世界各国の取組みを扱っている。
こうした新しいグリーンの技術革新によって、経済的発展をとりもどし、
温暖化、フラット化、人口過密化する世界で繁栄しようと締めくくっている。
上下を通読して思ったのは、この本の画期的なところは、地球温暖化の問題と
アメリカの石油中心のエネルギー政策(それとつながっているのが、
非民主的石油産出国とアルカイダの問題だ)との関連を描いたところでは
ないだろうか。