ミニ・フルとも合わせると、オリジナルアルバムとしては5作目にあたる今作。
「ひぐらし」関係ですっかりその手合いでは有名になりましたが、
もともと自然の風景と感情とを描写したヒーリングサウンドがベースの彼女。

・・と。
前アルバム「ひかりなでしこ(初回限定盤)【DVD付】」の拙筆レビューと
ほぼ同じ書き出しにしてみましたが、今作はまさにそのずばりな作品でびっくり。
島みやさんと言えば、ほぼ「ひぐらし―」関連で行くと思いきや、
ここで完全ノンタイアップ曲ばかりで占めたミニアルバムのリリース。
売れ線のアニメ系タイアップ曲がランキング上位に挙がる昨今において、
タイアップに頼ることのない姿勢に、敬嘆の念さえ覚えます。

タイアップ関連で一時的に染められた猟奇色は完全に排除され、
もともと持っていた不可思議でファンタジックなバラードで統一された今作。
ただいかんせんバラード主体なので一見、サウンド面のインパクトは薄いかも。
しかしその世界観（まさに世界！）から感じ取れる雰囲気は、
どの歌手にも引けをとらない、というかここでしか聴けないモノばかり。

M3「春空」のポップサウンドに隠した別れの情景に、
M5「Dhobi Ghat」のアジアンテイストでありながら意外なほど現実的な物語に、
M6「指」の街を漂う悲しき母子の風景に、
M7「Sunny Place」の旅立ちの二人に対する光りまぶしさに。
思わず感せられ、ふと、ほろり。

シングルc/w曲だった「OXISOLS」「electric universe」の2曲も、
この作品において全く違和感なくハマっているのにも驚かされます。

Perfect World。完璧な世界。
完膚無きほど美しい世界に羨望しますが、実際に現実世界は、
そんなに綺麗な世界じゃあない。
だけど僕らは空の青さに感動し、夕日の紅さに感動し、人の温かさに感動する。
それこそ「Perfect World」じゃないかと、ふと教示してくれそうな一枚。