カラヤンBPO黄金期の録音
★★★★★
カラヤンとベルリンフィルの絶妙なコンビネーションはこのEMI盤に勝るものなしと言えるでしょう。
特に木管のソロや掛け合いなどはDG盤の66年の録音よりも名人芸とでも言いましょうか、胸を掻き毟られるような感覚に襲われます。
特にゴールウェイのきらびやかな4番のソロ、コッホとの掛け合いなどは聴き所だと思います。ゴールウェイファンなら是非持っておきたいCDです。どんな風に吹き上げているのか、66年盤との比較も面白いかもしれません。
66年のDG盤は実際に聴いていますので、演奏は非の打ち所のないものだとも思いますし迫力も満点であることは言うまでもありません。もちろん録音状態も良いものです。
その点このEMI盤はフォルティッシモ以上の音量になると少し音が割れています(これが気になる方は遠慮された方が良いかと思います)。おそらくマスターテープの段階で既にあるのだと考えられます。
66年の録音とこの71年の録音は同じイエスキリスト教会でのもの。
しかし、こと木管のソロは先ほどの音の割れなど気にならないほど素晴らしいものです。
これを聞かずしてベルリンフィルの木管を語ることなかれ、と私は思っています。
一番の推薦盤です。
派手好きの人には最高ですが
★★★★☆
カラヤンのチャイコフスキー4・5・6番というと、
このEMI盤が一番派手な演奏になっており、
5年後のDG盤とはかなり印象が異なります。
71年というと、4チャンネルがブームの時期で、
私の記憶では、EMIはSQマトリクス方式の4チャンネル
を採用していたと思います。
ビクターが採用したCD−4はLPの溝に4チャンネル分の
音情報が記録され、比較的鮮明に分離してましたが、
SQは、残響音からアンプ内で後方の音を分離した方式でした。
したがって、このEMI盤は普通のステレオに戻した際、
必要以上に残響が聴こえ、実際の演奏が派手目に聴こえるのです。
ベルリンフィルが豊麗な音を奏でている上に、録音が派手な残響なので、
あまり好きな演奏ではありません。
カラヤン讃
★★★★★
もう30年ほども前になるが、わたしが学生時代に部活で男声合唱団に所属していたとき同期の友人の多くがこの3曲のレコードを買い求めていろんな議論を徹夜でしたものだ。当時カラヤンはまだ存命で、その前はもちろん後にもチャイコフスキーの「後期3大交響曲」を録音した。そのようにこの3曲をそれぞれ5回も6回も録音するほど愛着があったカラヤンにとっても、1971年におけるベルリン・フィルとのこの録音は別格のものとなった。
ベルリン・フィルとの関係が最も良好であったこと、オーケストラの機能とカラヤンの表現意欲がピークにあったことをこのディスクは示す。たとえば交響曲第4番第1楽章ひとつをとっても冒頭の第一主題のあとに第二主題が最弱奏でひかれる部分の緊張感であるとか、8分を経過するあたりでコルネットの独奏が昂揚するオーケストラのトゥッティをつらぬいて、まるで「遠くから響いてくるような」音色で鳴りわたる感覚など、まことに素晴らしい。
交響曲5番と6番についても語るべきことは多いが、それはもうおききになった方に委ねよう。個人的なことを申し上げれば、3曲のどれもが30年繰り返し聴いてまったく色褪せることのない唯一無二の演奏である。
この内容でこの価格とは!
★★★★★
ベルリンフィル、カラヤンでチャイコフスキーの交響曲4〜6番が収録されています。
輸入CDなので解説は英語、ドイツ語、フランス語で併記されたものですが、演奏は文句のつけようがなくすばらしいです。純粋に音楽を聴くだけなら何の問題もありません。この2枚組がこの価格で買えるとはありがたい限りです。
凄まじきベルリンフィルの咆哮!
★★★★★
カラヤンは生涯のうちにチャイコフスキーの交響曲を7回録音し、これは5回目のものと思われる(このあたりの詳細は確認のうえ後日修正予定)。
71年といえばカラヤン壮年期の、まさに脂の乗りきった時期の演奏であり、エネルギッシュで推進力のある熱演である。特に6番の第三楽章などは8分12秒の快速爆演であり、この快進撃を聞いてしまうと他の演奏がまどろっこしく聞こえてしまう。(ちなみにカラヤンはもっと若い頃に8分を切る超高速演奏の記録があるが、こちらは未聴)
またこの時期のベルリンフィルの管楽器(特に金管!)のパワーは凄まじく、完全にオケを支配。弦楽器もよく聴けば素晴らしいのだが完全に脇役になってしまっている。
この演奏はLP盤で長らく親しんでいたが、漸くCDに復刻されるに当たり、上記エネルギー感を些かも損なうことなく、またLPで気になったマスターテープの写りこみも見事に解消されていて、非常に優れた音質に満足できる。 チャイコフスキーの交響曲には聴く人それぞれに思いや好みがあると思われるが、これは買って損は無い、大変なお買い得としてお勧めできる。