引っ張りますね
★★★☆☆
QEDシリーズの16作目。出雲とありますが、舞台は奈良です。個人的に奈良には思い入れがあり、三輪山、長谷寺、畝傍山などよく知った場所が出てきたので楽しめました。島根県の出雲も巻末に同時収録されたflumenに出てきます。出雲好き、奈良好きは一読の価値有りです。
殺人事件の方は例のごとく内容的に”粗い”のでつっこみどころ満載ですが、これはこれでQEDらしいのでこのシリーズを読むのであれば早く慣れてしまいましょう。タタルにとって特別な存在と思われる、九段坂の例の方も登場しますし、このシリーズもラスト・スパートに入ってきたのかなという感じです。が、肝心の(?)奈々との関係は遅々として進みません。引っ張りすぎです。
flumenには40代のタタル、熊などが登場しますが、気になるのは奈々が出てこないこと。既に自身が立派な寺社フェチとなっている彼女がどういう状況であれ、あのイベントに参加しないというのは不自然ですし、奈々の身になにかあったのかなど深読みできなくもなく...。娘の幸福を願う親に近い感覚ですが、このシリーズが終わるのであれば、ただただ奈々が幸福となることを願うのみです。(笑)