そのため、本国で'80年に発表された今作は、久々の新アルバムということで当時大いに話題になった。
音楽面では、名作曲家ミシェル・ルグラン作、人生の往来を歌う②が傑作。
また、弾圧への反抗を歌う⑥、'16年にイギリスで作られた有名なスタンダードナンバー⑨、
旧友との一瞬のすれ違いに少年時代の思い出を語る⑩、水質悪化の進むセーヌ川を眺める
子供との会話に社会批判をやんわりこめる⑫が秀逸。
また、1曲目を始め、朗読が随所にある。仏語にうとい自分だが、その語り口は歌を聞いているようであり、
見事なまでに「音楽」になっている。
当時58歳とは思えない選曲のセンス、衰えぬ歌唱力には脱帽するばかりだ。
今回CDを買って改めて聞いたが、良いものは変わらない。