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シューマン:歌曲集

価格: ¥1,500
カテゴリ: CD
ブランド: EMIミュージック・ジャパン
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再投稿:人生の深みを刻んだ絶唱 ★★★★★
エリザベート・シュワルツコップが1974年に入れた世紀の名盤であり、あれこれ言うのも愚かであるが、最近ある音楽評論家が、このディスクは声が衰えてからの録音で「音楽の骨ばかりが見えてしまう」などという評価をしているのを目にした(『レコード芸術』9月号)。
こういうヒヒョー屋が音楽をダメにする元凶である。

陳腐な言い方で申し訳ないが、シュワルツコップの歌唱は人生というものを語るあまりに深い表現だ。
詞を語りすぎる、あるいはメロディライン軽視云々の評言も的を外しているなあ。
詞と音楽があり、その総合が歌曲なのである。そんな当たり前のことが、ひょっとしてわかっていないのでは・・・と危惧される。

『女の愛と生涯』の冒頭曲、2曲目、3曲目は、ひょっとすると初々しい新妻の思いにしては深すぎるかもしれない。しかし、ここでは底の底まで表現され尽していることがわかる。子を持った歓びの歌である第6曲「愛しい人よ」の<わたしの涙のわけがわかったでしょう>の“転調”と言いたくなるような、しとやかで温かい気持ちの表出には、音楽を超えた瞬間がある。素晴らしい!!! 
ここはシューマンを讃えたくなる!!

それにしても、終曲の最後で回想される冒頭楽章のピアノ後奏の懐かしさ!! 絶品だ!! 

こういう全曲が円環する構成の作品としては、ベートーヴェンのピアノソナタ第28番がある。シューマンはこの大傑作ソナタに学んだのではないか?

全8曲中、詞によっては保守反動的な男権論者の発想(詩=詞はシュミッソー)も見えるが、それは措いておくにしても、子供が生まれたと思ったら夫がすぐに死んでしまう構成にはやや違和感がある。しかし、そんなことはこの美しい音楽の前にはどうでもよくなる。
この詞にさらに求めるならば、永瀬清子の「諸国の天女」のテイストであろうか??

1974年といえばシュワルツコップは59歳。
輝かしいキャリアを抱え、世界的な声楽家として20世紀を代表するレジェンドとなっていたであろう。
しかし、そのキャリアが決して華美・浮薄な所謂スターのそれではなかったということが、このディスクによって感得できる。 ハリウッドのじゅうたんの上を、何億もする装身具をまとって悦に入る現代のセレブとは根本的に違うのである。

シュワルツコップは、2006年に90歳で亡くなっている。

よく歌い込んだ歌 ★★★★☆
シュヴァルツコップは2006年に亡くなられましたが、ドイツの声楽家の中では、
フィッシャー=ディースカウとともに今世紀を代表する歌手で、
シューベルトやモーツァルトでは名盤に挙げられているものが多いです。
シュトラウスの「ばらの騎士」の元帥夫人など、いまだに最高と言われているものもあります。
しかし活動されていた時代が随分前で、録音がモノラールであったり、
現代のステレオシステムで聞くには、サウンド的に物足りないものがあり、
私はあまり彼女のアルバムを持っていません。

しかしこのアルバムは別格で、彼女が60近くになって録音したもので、
円熟期のものと比べると、声自体は幾分聞き劣りするかもしれませんが、
詩の解釈が素晴らしく、内容がしっかり伝わってくるもので、
世紀の大歌手と呼ばれるだけある素晴らしい演奏です。
リーダークライス第1曲の「異郷にて」など、本当に寂しさがひしひしと伝わってきますし、
「月の光」や「春の夜」など、声の若さが決め手になる曲は若手に譲るとしても、
「静けさ」「古城にて」「悲しみ」「たそがれ」など、いずれも名演です。
「女の愛と生涯」も、酸いも甘いもしっている演奏で、流石だなと思います。
録音も十分満足できるものですし、彼女のリートの巧さを味わっていただきたいです。